【概要】
八房の梅は、新潟県阿賀野市にある梅護寺の境内に伝わる八重咲きの梅で、越後七不思議のひとつに数えられます。ひとつの花に八つの実を結ぶといわれ、親鸞聖人が食べた梅干しの種を庭に植えたところ芽吹いたものと伝えられます。同じ境内には珠数掛桜もあり、二つの不思議を一度に訪ねられる寺として知られています。春先には紅色の八重の花が咲きます。
【歴史】
梅護寺は、越後に流された親鸞聖人ゆかりの寺として伝えられてきました。聖人が小島の地に立ち寄った折、のちの世のしるしのために残し置くと詠んで梅干しの種を庭に植えたところ、やがて芽を出して八重の花をつけるようになったといいます。ひとつの花に八つの実を結んだことから、八房の梅と呼ばれるようになったと伝えられます。
【特徴】
八房の梅は、ひとつの花の中に複数の実がつく性質をもつ梅を指す呼び名です。梅護寺のものは紅色の八重咲きで、花が終わると小さな実がかたまってつくと語られてきました。同じ性質の梅は座論梅や品字梅とも呼ばれ、実が寄り集まって座談しているように見えることが、その名の由来になっているといわれます。実の数え方には土地ごとの違いもあると語られてきました。
【見どころ】
見ごろは春先で、境内には八房の梅とともに珠数掛桜が育ち、梅が咲いたあとに桜が続きます。現在の木が言い伝えのころからのものかははっきりしませんが、寺では八房の梅を絶やさぬよう守り伝えてきました。開花の時期は年によって前後するため、訪ねる前に地元の観光案内などで様子を確かめると確実です。境内は静かで、梅の香りをゆっくり味わえます。
【トリビア】
八房の梅と呼ばれる木は越後だけのものではなく、各地の親鸞聖人ゆかりの寺にも同じ名で伝わります。山梨県の洞雲寺や岐阜県の聖蓮寺に伝わる八房の梅はいずれも県の天然記念物に指定され、宮崎県に残る湯ノ宮の座論梅は国の天然記念物です。伝説が土地から土地へ広がっていった様子がうかがえます。梅護寺の八房の梅も、そうした広がりのなかに位置づけられる一本といえるでしょう。
