【概要】
片葉の芦は、新潟県上越市にある居多神社の境内に生えるアシで、越後七不思議のひとつに数えられます。ふつうは左右交互につく葉が片側だけに伸びるのが特徴で、越後へ流された親鸞聖人が参詣して念じたところ、一夜のうちに片葉になったと伝えられます。聖人が上陸したとされる居多ヶ浜にもほど近く、越後での歩みをたどる入り口となる社です。
【歴史】
建永二年に越後へ流された親鸞聖人は、直江津の居多ヶ浜に上陸したと伝えられます。上陸してまず越後国一宮の居多神社に参詣し、教えが広まるようにと念じたところ、境内の池に生えるアシが一夜のうちにすべて片葉になったといいます。上越市国府には、七不思議の第一番としてこの伝承を伝える石碑が立ち、訪れる人を迎えています。
【特徴】
アシは本来、茎の左右に葉を交互につける植物ですが、片葉の芦は片側の一方向にだけ葉を伸ばします。植物学の立場からは、地形や水の流れ、強い風の向きなどの影響で葉が一方に偏ると説明されます。居多神社ではこの片葉のアシが今も境内に生え、季節になると独特の姿を見せてくれます。知らずに通り過ぎてしまいそうな草ですが、近づくと葉の向きの偏りがよく分かります。
【見どころ】
居多神社は大国主命などをまつる越後国一宮で、親鸞聖人が越後で最初に訪ねた社と伝えられます。境内には片葉の芦のほか、市の文化財に指定された室町時代の木造狛犬や、中世からの古文書も伝わります。アシは季節で姿が変わるので、葉がよく伸びる初夏から夏にかけて訪ねると観察しやすいでしょう。社殿からは日本海を望むこともできます。
【トリビア】
片葉の芦には別の言い伝えもあります。池に映る自らの顔を彫っていた聖人のもとへ、葦笛を吹く乙女が日々あらわれ、像が仕上がったときにはあたりのアシがことごとく片葉になっていたというものです。片葉の葦は本所七不思議や遠州七不思議にも登場し、各地で語られてきた題材です。同じ不思議が土地ごとに違う物語をまとっている点も興味深いところです。
