【概要】
繋ぎ榧は、新潟県田上町にある了玄寺の境内で育つカヤの大木で、越後七不思議のひとつに数えられます。実に糸を通したような穴が開くといわれ、親鸞聖人が植えた榧の実から育ったものと伝えられます。国の天然記念物に指定されており、根元から幾筋にも分かれた幹が地を這うように広がる姿も見どころで、樹齢は七百年余りといわれます。
【歴史】
言い伝えでは、護摩堂山を訪れて法話をした親鸞聖人が、城主から榧の実を贈られました。それは農民が年貢の代わりに糸でつないで納めたもので、聖人が地に植えると翌年芽を出し、実には糸を通した跡のような穴が残ったといいます。食膳に出された榧の実を植えたものとする言い伝えもあり、話にはいくつかの形が残ります。いずれも、聖人の教えが根づいたしるしとして語られてきました。
【特徴】
了玄寺の繋ぎ榧は、根元から数本の幹に分かれて八方へ伸び、地を這うように広がって百三十平方メートルほどを覆います。高さは五メートルほどで、樹齢は七百年余りといわれます。カヤの実に開く穴はもともと芽を出すときに根が伸び出るためのものですが、この木の実はその穴がとくに目立ち、糸を通した跡のように見えると伝えられます。
【見どころ】
了玄寺の境内では、低く大きく枝を張った独特の樹形を間近に見られます。国の天然記念物としての指定名称は了玄庵のツナギガヤで、近くには同じく国の天然記念物である田上村ツナギガヤ自生地があり、寺の木はそこから移されたものと伝えられます。あじさいで知られる護摩堂山や湯田上温泉も近く、あわせて歩くことができます。
【トリビア】
カヤはイチイ科の常緑樹で、実からとれる油は食用や灯りに使われ、材は碁盤や将棋盤の最高級品として重んじられてきました。繋ぎ榧の言い伝えは、そうした暮らしに欠かせない木が年貢の代わりに納められていた時代の様子も映しています。今も地域の宝として大切に守られている一本で、田上町を訪ねたらぜひ立ち寄りたい木です。
