【概要】
三斗小屋温泉は、那須岳の西側の山中、標高およそ1460メートルに湧く温泉で、車の道は通じておらず、登山道を2時間ほど歩かなければたどり着けません。康治元年の1142年に見つかったと伝わる古い湯で、明治の初めには5軒の宿が並んでいましたが、いまは煙草屋と大黒屋の2軒が山小屋のように営業しています。冬は2軒とも休業します。
【歴史】
三斗小屋温泉は康治元年、西暦1142年に発見されたと伝えられています。江戸と会津を結ぶ街道沿いにあって、旅人や湯治客が山を越えて訪れ、明治の初めごろには5軒の旅館が軒を連ねていたといいます。その後は宿が減り、いまも営業を続けているのは煙草屋と大黒屋の2軒だけです。栃木県那須塩原市にある温泉で、七湯のなかでは唯一、那須町の外にある湯でもあります。
【特徴】
三斗小屋温泉へは、那須ロープウェイの山頂駅や峠の茶屋の駐車場などから登山道を歩くしかなく、最短でも片道4キロあまり、2時間ほどかかります。季節に合った登山の装備が欠かせず、宿は冬のあいだ休業します。2軒の宿はどちらも素朴な木の湯船をもち、露天風呂は煙草屋にあります。大黒屋は建物が国の登録有形文化財になっており、山の湯の歴史を今に伝えています。
【見どころ】
三斗小屋温泉の魅力は、歩いた人だけが浸かれる湯そのものです。茶臼岳や朝日岳の稜線を越えて谷へ下ると、森のなかに古い木造の宿が現れ、車の音の届かない静けさに包まれます。夜は電灯の少ない山中で星空が広がり、朝は鳥の声で目覚めます。那須岳の縦走の途中で泊まる登山者も多く、山小屋の暮らしと温泉を一度に味わえる、那須でも特別な一湯です。
【トリビア】
三斗小屋という名の由来には諸説があります。峠を越える険しい道では、牛の背でも米は三斗までしか運べなかったという説や、山の宿へ運ぶ米俵が当時は三斗で一俵だったという説が伝わります。ほかに、三升の米を食べるあいだに病が治ったことから、三升が転じて三斗になったという話もあります。いずれも、山深い湯へ食料を運ぶ苦労がしのばれる言い伝えです。
