【概要】
大丸温泉は、茶臼岳の東の斜面の中腹、標高およそ1300メートルの森のなかに湧く温泉で、那須温泉郷のなかでもいちばん奥まった場所にあります。1691年に見つかったとされ、江戸時代から続く一軒宿の大丸温泉旅館が湯を守っています。宿の裏山から流れ出す温泉の川をせき止めてつくった露天風呂で知られ、明治時代には乃木希典が毎年のように湯治に訪れました。
【歴史】
大丸温泉は元禄4年にあたる1691年に発見されたと伝わり、江戸時代のうちに湯治の宿が開かれました。いまの大丸温泉旅館は200年を超える歴史をもつ一軒宿で、代々の主人が湯を受け継いできました。明治時代には日露戦争の将軍として知られる乃木希典が毎年のように湯治に通ったとされ、館内にはそのゆかりを伝える品が飾られています。那須の奥座敷として長く親しまれてきた湯です。
【特徴】
大丸温泉の湯は刺激の少ない単純温泉で、源泉の温度はおよそ60度、弱アルカリ性とされています。肌あたりがやわらかく、古くから湯治に向く湯として好まれてきました。宿の裏山に自家源泉があり、湧き出した湯が小さな川となって森のなかを流れ下ります。白く濁る那須湯本の硫黄泉とは趣が違い、透き通った湯が岩の間をさらさらと流れていくのが大丸温泉ならではの姿です。
【見どころ】
いちばんの名物は、温泉の川をせき止めてつくった大きな露天風呂の「川の湯」です。湯は源泉から絶えず流れ込んで入れ替わり、川の流れのなかに身を沈めるような不思議な感覚を味わえます。周りは深い森に囲まれ、新緑や紅葉の季節には湯の上に木々の色が映り込みます。冬は雪に囲まれた湯けむりの景色になり、季節ごとにまったく違う表情を見せてくれます。
【トリビア】
大丸温泉旅館は那須ロープウェイの山麓駅から歩いて行ける近さにあり、茶臼岳の登山とあわせて立ち寄る人も少なくありません。那須の御用邸へ引かれている温泉と同じ源泉を使っていると紹介されたこともあり、皇室ゆかりの那須らしい話題として語られます。発見の年を元禄4年の1695年とする紹介も見かけますが、元禄4年は西暦では1691年にあたり、こちらが正しい年代です。
