【概要】
弁天温泉は、那須岳の中腹の森のなかにあった一軒宿の温泉で、1840年に見つかったと伝わります。弁財天が夢に現れて湯の源へ導いたという言い伝えがあり、宿の裏手の岩窟から湯が湧き、そこに弁財天を祀ったことが名の由来とされます。130年を超えて営業した弁天温泉旅館は、2020年ごろから休業したまま再開できずに破産手続きに入り、いまは入浴できません。
【歴史】
弁天温泉は天保11年にあたる1840年に発見されたとされます。言い伝えでは、弁財天が地元の男の夢枕に立ち、湯の湧く場所へ導いたといいます。のちに一軒宿の弁天温泉旅館が開かれ、130年を超えて営業を続けました。江戸時代の那須七湯にも、明治以降に顔ぶれが変わった七湯にも数えられ、那須の湯めぐりの名所として長く親しまれてきた湯のひとつです。
【特徴】
弁天温泉の名は、宿の裏手にある岩窟から湯が湧き出し、そこに弁財天を祀ったことに由来するとされます。夢のお告げで見つかったという縁起と、岩のくぼみに祀られた女神が、そのまま温泉の名前になったわけです。宿には露天風呂のほか、ひとりで入る小さな坪湯もあったと伝えられています。那須岳の中腹の森に囲まれ、温泉街から離れた静かな山の湯でした。
【見どころ】
弁天温泉旅館は2020年の春ごろから休業し、再開できないまま破産手続きの開始が決まりました。そのため、いまは弁天温泉の湯に入ることはできません。それでも那須七湯の歴史をたどると、弁天温泉は欠かせない一湯です。那須湯本や大丸、北温泉などの湯をめぐりながら、かつて那須岳の中腹にこうした女神の名を冠した一軒宿があったことに思いを馳せるのも、七湯めぐりの楽しみ方です。
【トリビア】
那須の温泉郷では、令和に入ってから弁天、八幡、高雄の宿が相次いで閉じ、一時は「那須四湯」と呼ばれる状態になったと紹介されています。そのうち高雄温泉は2025年に新しい宿として復活しましたが、弁天温泉の湯はまだ途絶えたままです。夢のお告げで見つかった湯が、いつかふたたび人を迎える日が来るのか、那須の温泉好きのあいだでは行く末が気にかけられています。
