【概要】
北温泉は、那須五峰のひとつ朝日岳から流れ下る余笹川の谷あいに建つ一軒宿の温泉で、1696年に見つかったと伝わります。別名を天狗温泉といい、館内のあちこちに天狗の面が飾られています。江戸時代の安政、明治、昭和に建てられた建物が迷路のようにつながり、屋外には泳げるほど大きな湯船があります。映画『テルマエ・ロマエ』のロケ地になったことでも知られます。
【歴史】
北温泉は元禄9年にあたる1696年に発見されたとされ、江戸時代から湯治場として利用されてきました。言い伝えでは、およそ1200年前に天狗が見つけた湯ともいわれ、天狗の面を祀る由来になっています。第二次世界大戦の前後には多くの兵士が湯治に訪れ、館内にはその当時の写真や勲章が残されています。一軒宿の北温泉旅館が、長い年月をかけて少しずつ建て増しを重ねてきました。
【特徴】
北温泉旅館の建物は、江戸時代の安政年間、明治、昭和という三つの時代に建てられた棟が入り組んでいて、廊下や階段をたどるうちに時代をまたいで歩くことになります。浴場も数が多く、天狗の面が壁一面に並ぶ天狗の湯、打たせ湯のように湯が落ちる不動の湯、河原の湯、相の湯などが点在しています。深い谷の底に建つため、車の通る道から宿までは坂道を下っていきます。
【見どころ】
北温泉を象徴するのが、宿の前に広がる「泳ぎ湯」と呼ばれる大きな屋外の湯船です。プールのような広さがあり、山の緑に囲まれて湯けむりが立つ光景は、ほかの温泉ではなかなか見られません。館内では天狗の湯に並ぶ大小の天狗の面が見ものです。古い木造の廊下を歩き、時代の違う客室や湯殿をめぐるだけでも、湯治場の暮らしの名残をたっぷりと味わえます。
【トリビア】
北温泉の泳ぎ湯は、古代ローマの浴場技師が現代日本の風呂に迷い込む映画『テルマエ・ロマエ』のロケ地に選ばれ、作品の公開後には一躍その名が広まりました。昭和の香りを残す古い建物と山奥の景色が、時代を飛び越える物語の舞台にぴったりだったといえます。那須の温泉郷のなかでも、北温泉は山奥の谷底にひっそりと建つ、秘湯の雰囲気が濃い一軒宿です。
