乙字ケ滝

(おつじがたき)
📍 東北福島県 須賀川市🌿 自然

【概要】

乙字ケ滝は、福島県須賀川市と玉川村の境を流れる阿武隈川本流に懸かる滝で、落差は約6mながら幅は約100mに及び、「小ナイアガラ」の別称があります。川が「乙」の字に大きく屈曲して流れ落ちることが名前の由来です。1689年に松尾芭蕉が訪れて「五月雨の滝降りうづむ水かさ哉」と詠んだとされ、滝のそばに句碑が建てられています。

【歴史】

乙字ケ滝は福島県須賀川市にあり、玉川村との境を流れる阿武隈川本流に懸かる滝です。1689年、松尾芭蕉は『おくのほそ道』の旅で須賀川に滞在中にこの滝を訪れ、「五月雨の滝降りうづむ水かさ哉」の句を詠んだとされ、滝のそばに句碑が建てられています。江戸時代には白河藩が滝の下での漁を認め、鱒・鮭・鮎などが獲れましたが、初漁の獲物は殿様への献上品とされました。1990年に日本の滝百選に選ばれました。

【特徴】

落差は約6mと低いものの、幅は約100mに及び、阿武隈川の川幅いっぱいに水が落ちる横に広い滝です。この一帯で阿武隈川が「乙」または「Z」の字に大きく屈曲し、水が乙の字を描くように流れ落ちることが名前の由来です。広大な滝幅から「小ナイアガラ」の別称もあります。増水時には全面が白い水の壁となり、渇水期には岩盤が露出して段差の形がよく見えるなど、水量によって表情を大きく変える滝です。

【見どころ】

滝の周辺は公園として整備され、滝不動尊や聖徳太子の石像、芭蕉の句碑が点在します。滝の縁に立って眺めると、幅100mの水流が一斉に落ちる音と飛沫を体感できます。夏はヤマユリが咲き、秋は紅葉と滝の組み合わせが美しく、平地にあるため季節を問わず気軽に訪れられます。玉川村側からも眺められ、対岸から見ると滝の全体像がつかみやすく、写真撮影にも向いています。

【トリビア】

白河藩の時代、初漁の前には藩士が滝に詰め、その滞在費を負担する代わりに村は他の賦役を免除されたと伝わります。芭蕉の句は五月雨で増水した川が滝を埋めるように流れる様子を詠んだもので、当時も水量の変化が印象的だったことがうかがえます。日本の滝百選の中では最も落差の小さい滝の一つで、「高さ」ではなく「幅」で選ばれた珍しい存在です。滝不動尊は今も地元の人々に守られています。

📅 最終更新: 2026/9/17
乙字ケ滝
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です