【概要】
修性院は、東京都荒川区にある西日暮里の高台の寺町に建つ日蓮宗の寺院で、谷中七福神の布袋尊を祀ります。江戸時代には隣の妙隆寺や青雲寺とともに花見寺と呼ばれ、庭園の花を目当てに多くの人が訪れました。歌川広重の名所江戸百景にも日暮里の寺々の庭が描かれています。通りに面した塀には布袋の絵が描かれ、道ゆく人の目を楽しませています。
【歴史】
修性院のあたりは、江戸時代に日暮らしの里と呼ばれた景勝地でした。寛延年間に妙隆寺が庭園を造ると、北隣の修性院、さらにその北の青雲寺も競うように庭を築き、三つの寺は花見寺と総称されて江戸の人々の行楽地になりました。のちに妙隆寺は修性院に合併され、修性院が花見寺の名残を伝える寺の一つとなっています。宗派は日蓮宗で、谷中七福神では布袋尊を担います。
【特徴】
布袋尊は七福神のなかで唯一、実在した人物がもとになった神とされ、中国の唐の末から五代のころに生きた禅僧の契此がその人と伝わります。大きな腹と背負った袋で知られ、いつも笑顔で施しを受けて歩いた姿から、福を招く神として親しまれてきました。修性院の布袋尊は日暮らしの布袋とも呼ばれ、日暮里という土地の名と結びついた呼び名に、地元とのつながりの深さがうかがえます。
【見どころ】
修性院(布袋尊)でひときわ目を引くのが、通りに面した塀です。明るい色に塗られた塀には、ふくよかな布袋の絵がいくつも描かれ、笑顔で並ぶ姿が道を歩く人を楽しませています。七福神めぐりの時期でなくても、この塀を眺めに立ち寄る人がいるほどで、谷中から西日暮里へ向かう散策路の名物になっています。塀の奥の境内は静かで、花見寺と呼ばれたころの面影をしのびながら参拝できます。
【トリビア】
歌川広重の名所江戸百景には、日暮里寺院の林泉という一枚があり、花見寺と呼ばれた日暮里の寺々の庭園が描かれています。崖の上の寺から見下ろす庭の景色は、江戸の人々にとって春の行楽の定番でした。日暮里という地名も、一日中眺めていても飽きないことから日暮らしの里と呼ばれたことに由来するといわれ、その名を体現する場所の一つがこの花見寺のあたりでした。
