【概要】
青雲寺は、東京都荒川区にある西日暮里の臨済宗妙心寺派の寺院で、谷中七福神の恵比寿を祀ります。江戸時代中期の宝暦年間に、佐倉藩主で老中首座を務めた堀田正亮が中興し、その法号にちなんで浄居山青雲寺と称したと伝わります。境内には滝沢馬琴ゆかりの筆塚や硯塚の碑が立ち、修性院や妙隆寺とともに花見寺の一つとして江戸の人々に親しまれました。
【歴史】
青雲寺(恵比寿)の今の姿を築いたのは、佐倉藩主の堀田正亮です。正亮は老中首座を務めた大名で、江戸時代中期の宝暦年間に寺を中興し、自らの法号にちなんで浄居山青雲寺と称したと伝わります。以後、寺は佐倉藩堀田家の代々の祈願寺となりました。南隣の修性院や妙隆寺とともに庭園の美しさで知られ、日暮らしの里の花見寺の一つとして春には多くの人でにぎわいました。
【特徴】
青雲寺の恵比寿は、釣り竿と鯛を手にした姿で、商売繁盛や大漁をもたらす神として信仰されてきました。七福神のうち、大黒天と毘沙門天、弁財天はインドに、福禄寿と寿老人、布袋尊は中国に由来するとされ、恵比寿だけが日本生まれの神です。もとは海の向こうから福を運ぶ漁業の神でしたが、江戸の町では商いの神として広く親しまれ、七福神めぐりの顔ぶれに欠かせない存在となりました。
【見どころ】
境内には、南総里見八犬伝の作者として知られる滝沢馬琴にゆかりの筆塚と硯塚の碑が立っています。使い古した筆や硯を供養するために建てられたもので、物書きとして生きた馬琴の筆への思いがしのばれます。いずれも八犬伝を書き始めるより前に建てられたとされ、八犬伝を書く前の馬琴とこの寺の縁を伝えています。木々に囲まれた静かな境内で、石碑を探しながら歩くのも楽しみです。
【トリビア】
青雲寺の北には道灌山と呼ばれる高台が続き、太田道灌の出城があったという伝説から名づけられたといわれます。江戸時代の道灌山は虫聴きの名所として知られ、秋の夜には鳴く虫の声を楽しみに人々が集まりました。春は花見寺の庭で花をめで、秋は道灌山で虫の音に耳を傾けるという、四季を通じて江戸の人々を楽しませた日暮らしの里の風情を、青雲寺の周辺は今に伝えています。
