【概要】
むかばきの滝は、宮崎県延岡市の行縢山に懸かる落差約77メートル、幅約30メートルの滝で、雄岳と雌岳の二つの岩峰の間を刻む谷に落ちます。日本武尊が山を「むかばき」と名づけ、滝を矢筈の滝と呼んだという伝説が伝わり、中世には真言密教の修験の霊場となっていました。登山口から沢沿いの道を四十分ほど登ると、絶壁を割って落ちる全景が現れます。
【歴史】
むかばきの滝は宮崎県延岡市の行縢山に懸かる滝で、「行縢の滝」とも表記され、日本の滝百選に選ばれています。熊襲征伐に訪れた日本武尊がこの山を望んで「むかばき」と名づけ、滝を「矢筈の滝」と呼んだという伝説が伝わります。中世には真言密教の修験の地とされ、修行者が水行を行い、雨乞いや病気平癒を祈った霊場としても知られてきました。
【特徴】
五ヶ瀬川水系の行縢川に懸かり、落差は約77メートル、滝幅は約30メートルとされます。標高831メートルの行縢山は雄岳と雌岳という二つの岩峰からなり、むかばきの滝はその間を刻む谷に落ちています。山名は、武士が狩りや乗馬の際に腰から脚へまとった「行縢」に山容が似ることに由来するとされ、奇岩の連なる絶壁が左右から滝を挟み込んでいます。
【見どころ】
登山口の駐車場から沢沿いの道を四十分ほど登ると、切り立った岩壁を割って落ちる滝の全景が目の前に現れます。同じ道は行縢山の山頂へも続いており、滝の見物と登山を組み合わせて歩く人が多いです。麓には行縢神社が鎮座しており、山そのものが古くからの信仰の対象であったことを今に伝えています。一帯は自然公園に指定され、豊かな照葉樹林が残されています。
【トリビア】
日本武尊が詠んだと伝わる「布引の矢筈の滝を射てみれば、川上タケル落ちて流るる」という歌は、今も延岡地方の神楽で歌い継がれているといいます。むかばきの滝が単なる景勝ではなく、土地の物語を支える存在であったことがうかがえる一節です。滝の名と山の名とが一つの伝説によって結ばれている点も、この地ならではの面白さといえるでしょう。
