【概要】
箱根湯本温泉は、早川と須雲川が合流する谷あいに開けた箱根の玄関口の温泉街です。天平10年(738年)の開湯と伝えられ、箱根七湯のなかで最も古い歴史を持つとされます。七湯のうちで唯一東海道に面していたため、江戸時代から旅人の足を止める宿場のようなにぎわいを見せ、いまは小田急ロマンスカーと箱根登山電車の終着・始発駅を中心に旅館や土産物店が軒を連ねています。
【歴史】
箱根湯本温泉は、加賀白山を開いた泰澄の弟子の浄定坊が、疱瘡に苦しむ人々のために祈って湯を見いだしたのが始まりと伝えられ、その年を天平10年(738年)としています。元禄2年(1689年)に北村季吟が著した『湯もとの記』にも同じ由来が記されています。戦国時代には北条氏の菩提寺の早雲寺が建てられ、天正18年の小田原攻めでは豊臣秀吉がこの寺に本陣を置きました。
【特徴】
箱根湯本温泉の湯は、pH8.8前後のアルカリ性単純温泉を中心に、無色透明でくせがなく肌あたりのやわらかいのが持ち味です。熊野神社の直下から湧いた惣湯と呼ばれる源泉が湯本の湯の始まりとされ、参道には箱根温泉発祥の地の碑が立ちます。早川と須雲川が箱根火山を削った谷底に宿が集まり、駅前から川沿いへと歩いて回れる距離に旅館と日帰り湯が並んでいます。
【見どころ】
駅前から旧街道沿いに続く湯本の商店街では、温泉まんじゅうや干物、寄木細工の店を食べ歩きながらのぞいて回れます。早川に架かる橋の上からは、川の両岸に段々と立つ宿と山の緑をひと目で見渡せます。少し足を延ばせば、北条五代の墓が並ぶ早雲寺や、温泉発祥の地とされる熊野神社を訪ねることができ、湯めぐりとあわせて箱根の古い歴史に触れられます。
【トリビア】
江戸時代の箱根七湯のうち、東海道に直接面していたのは湯本だけで、ほかの六湯へ向かう湯治客もまずここを通りました。大正8年(1919年)には箱根登山鉄道が箱根湯本から強羅まで開通し、さらに昭和25年(1950年)には小田急の電車が乗り入れたことで、新宿から乗り換えなしで来られる温泉地になりました。いまも箱根を訪れる人の多くが、最初に降り立つのがこの温泉街です。
