【概要】
アポイ岳ジオパークは、北海道様似町の全域を範囲とするジオパークです。標高810メートルのアポイ岳は、地下深くのマントルをつくるかんらん岩が、ほとんど変質しないまま地表に現れた世界的にも珍しい山です。その特殊な土壌が低い山に多くの高山植物や固有の植物を育み、2015年に世界ジオパークに認定されました。プレートの衝突が生んだ大地の成り立ちを、山を歩きながら学べます。
【歴史】
アポイ岳ジオパークの大地は、約1300万年前に始まったプレートどうしの衝突によって形づくられました。東側の北米プレートが西側のユーラシアプレートに乗り上げるようにぶつかって日高山脈が隆起し、そのとき地下深くにあった上部マントルの岩石が地表近くまで押し上げられたと考えられています。様似町の取り組みは2008年に日本ジオパークに認定され、2015年9月に世界ジオパークに加わりました。
【特徴】
アポイ岳の山体をつくる幌満かんらん岩体は、地表に出る途中で蛇紋岩に変わりやすいマントルの岩石が、新鮮な状態のまま残っている点で学術的に貴重です。かんらん岩の土は植物にとって厳しく、森林が育つ上限が低く抑えられるため、標高810メートルの山なのに約80種の高山植物が見られます。ヒダカソウやアポイアズマギクなど、地名や山の名を冠した固有の植物も知られています。
【見どころ】
登山口にあるアポイ岳ジオパークビジターセンターでは、かんらん岩の標本や大地の成り立ちを紹介する展示を無料で見られ、登山前の下調べに役立ちます。山頂への道は中腹から上で森林が途切れ、かんらん岩の岩肌と高山植物の花が広がる景色に変わります。花は初夏を中心に次々と咲きますが、天候が変わりやすく、ビジターセンターも冬は休館する期間があるため、事前に確かめておくと安心です。
【トリビア】
アポイ岳の高山植物群落は1952年に国の特別天然記念物に指定されましたが、1990年代には固有種を含む植物が大規模な盗掘にあい、群落は大きな打撃を受けました。現在は登山道の整備や見回り、株を増やす取り組みが続けられています。2024年6月には日高山脈襟裳十勝国立公園が誕生し、アポイ岳を含む一帯は国内最大の面積を持つ国立公園の一部になりました。
