日本三大備長炭(にほんさんだいびんちょうたん)とは、和歌山県の紀州備長炭、高知県の土佐備長炭、宮崎県の日向備長炭の三つを指します。いずれも白炭(はくたん)と呼ばれる硬質な木炭で、火力が強く火持ちが良いのが特徴です。ウバメガシなどを原料とし、伝統的な製法で焼き上げられる最高級の燃料です。
A.田辺の炭問屋であった備中屋長左衛門の名に由来すると伝わります。江戸時代の元禄年間に紀州で製法の改良が進み、備中屋長左衛門が自らの屋号を冠した名で江戸へ盛んに出荷したことが、「備長炭」という呼び名の起こりとされます。
A.おもに原木と火付きに違いがあります。紀州備長炭はウバメガシやカシを原木とし、非常に硬く火付きは決してよくありませんが、長時間強い火力を保ちます。土佐備長炭はウバメガシを使い火付きが比較的よく、日向備長炭はアラカシを使うため紀州のものよりやや柔らかく、着火しやすいのが持ち味です。
A.窯の中で炭化させた材を高温のまま外へ掻き出し、灰と土を混ぜた消し粉をかけて一気に冷ます製法です。三つとも窯出しの後に消し粉をかけて急冷する工程は変わりません。こうして締まった炭は硬く、叩くと金属のような高い音を響かせます。
A.紀州備長炭は和歌山県の田辺市やみなべ町、土佐備長炭は高知県室戸市を中心に、日向備長炭は宮崎県美郷町を中心に焼かれています。直線距離では紀州と土佐の産地が約120km、土佐と日向が約270km、紀州と日向が約400km離れています。
A.紀州備長炭と日向備長炭の製炭技術は、それぞれの県の無形民俗文化財に指定されています。紀州備長炭は昭和49年(1974年)に和歌山県の、日向備長炭は令和3年(2021年)に宮崎県の無形民俗文化財となりました。紀州では原木林をすべて伐らずに残す択伐の技術とともに受け継がれてきました。