【概要】
静岡県河津町にある初景滝は、落差約10メートル、幅約7メートルと横に広がる姿が美しく、河津七滝を代表する一滝とされます。滝の前には川端康成の『伊豆の踊子』にちなんだブロンズ像「踊り子と私」が置かれ、七滝の写真といえばこの構図が思い浮かぶほど知られています。滝まつりのメイン会場にもなる、遊歩道のちょうど中ほどの広場です。
【歴史】
初景滝という名の由来には諸説あり、滝のそばの岩屋にこもって修行した行者の名が初景であったという説や、街道から下ってきて最初に目に入る滝であったからという説が伝えられています。いずれにしても、七つの滝の中でも早くから人の目に触れてきた滝であったことがうかがえます。現在も河津七滝の顔として、多くの人が足を止める場所です。
【特徴】
落差は約10メートル、幅は約7メートルで、高さよりも横の広がりが目を引く滝です。岩壁を扇のように水が流れ落ち、滝壺が浅いため水面に近いところまで歩み寄れます。手前には柱状節理の岩が露出しており、溶岩が冷え固まったときにできた柱の並びを、滝と一緒の画面におさめられるのが初景滝の見やすさにつながっています。
【見どころ】
初景滝の前に立つブロンズ像「踊り子と私」は、川端康成の『伊豆の踊子』の一場面を思わせる二人の姿をかたどったものです。滝を背にして像を眺める構図は河津七滝の定番で、遊歩道沿いには休憩できる広場も設けられています。毎年開かれる滝まつりのメイン会場にもなり、その時期には普段と違うにぎわいを見せます。開催時期は年によって変わります。
【トリビア】
像があることから初景滝は『伊豆の踊子』の舞台と思われがちですが、小説そのものには河津七滝が登場しないとも指摘されています。踊り子の一行が越えた天城峠は七滝のさらに上流にあたり、物語の道すじと滝が近い場所にあることから結び付けられていったようです。初景滝は、文学によって呼び起こされた記憶と実際の風景とが重なり合う、少し不思議な場所だといえます。
