【概要】
愛知県弥富市は、日本有数の金魚生産量を誇る「金魚のまち」。約150年の歴史があり、広大な養殖池が広がる。市場での競り市も有名で、多種多様な品種が生産されている。特に「弥富金魚」として地域団体商標にも登録されている。
【歴史】
弥富金魚の始まりは、およそ百五十年前にさかのぼります。大和郡山の金魚商人が東海道の熱田宿を目指す道中、前ヶ須と呼ばれた宿場に池を掘って金魚を休ませたところ、その姿に魅せられた寺子屋の権十郎が買い取って飼育を始めたと伝わります。明治に入ると佐藤宗三郎が採卵と孵化に成功して量産の道が開け、明治の中ごろからは農家の副業として養殖が広く根づき、やがて全国有数の産地へと育っていきました。
【特徴】
愛知県弥富市にあり、木曽川と日光川に挟まれた低湿な水郷地帯は、水量が豊かで土質も養殖に向いていました。弥富金魚の特徴は品種の多さで、和金や琉金、出目金、オランダシシガシラ、ランチュウ、コメットなど、国内で流通するおよそ二十数種類がほぼそろいます。屋外の土池でじっくり育てる昔ながらの方法が守られており、生産量はかつて全国一を誇り、現在も奈良県に次ぐ規模を保ち続けています。
【見どころ】
見どころは、市内に点在する養魚場と池が並ぶ独特の景色です。弥富金魚漁業協同組合をはじめ、直売に応じる養魚場では色や体形を見比べながら気に入った一匹を選べます。毎年7月には海南こどもの国で「やとみ金魚まつり」が開かれ、金魚すくい大会や絵付け体験でにぎわいます。夏の恒例行事として親しまれ、県内外から親子連れが集まります。名古屋から列車で二十分ほどという近さも魅力です。
【トリビア】
弥富金魚の生産量は1970年代半ばに頂点を迎え、養殖池の面積は二百ヘクタールを超えていました。その後は住まい方の変化による需要の減少や都市化、生産者の高齢化が重なり、面積も戸数も縮んでいます。それでも品質への評価は高く、弥富金魚は地域団体商標として名が守られています。街なかには金魚をかたどったマンホール蓋やモニュメントが置かれ、町ぐるみで金魚の文化を伝えています。




