【概要】
京都を代表する名社「八坂神社」の南門にそびえる石鳥居は、国の重要文化財に指定されている歴史的建造物です。1646年(正保3年)に建立され、高さ約9.5メートルという圧倒的な規模を持っています。自然石を用いて作られた鳥居としては日本最大と言われており、石材をつなぎ合わせることなく、上下2つの巨大な石を継いだだけのダイナミックで力強い構造が特徴です。京都祇園の風情ある街並みの中で、時を越えて参拝者を迎え入れる重厚な姿は、神聖な空間への見事な結界となっています。
【歴史】
八坂神社の石鳥居は、江戸時代初期の1646年(正保3年)に、江戸幕府によって造営されました。実は、多くの観光客が正面の入り口だと思っている四条通に面した「西楼門」(朱色の門)ではなく、下河原通に面した南側のこの石鳥居がある「南楼門」こそが、八坂神社の本来の正門(正参道)にあたります。建立以来、約400年近くにわたって京都の激動の歴史と風雪に耐え抜き、修復を重ねながら現在へと受け継がれ、国の重要文化財に指定されています。
【特徴】
高さ約9.5メートルのこの鳥居は、花崗岩などの「自然石」を用いて作られたものとしては日本において最大級の規模を誇ります。日光東照宮の石鳥居が15個のブロックから組み立てられているのに対し、八坂神社の石鳥居は、円柱形の柱を地中で支える礎石の上に、上下2本の巨大な石材を入念に継ぎ合わせただけの、極めてシンプルで豪快な構造を持っています。角が取れて丸みを帯び、長年の風雨によって苔むし、黒みを帯びて風化した巨大な石肌からは、圧倒的な年輪と荘厳さを感じることができます。
【見どころ】
石鳥居をくぐると、その奥には朱色に輝く壮麗な「南楼門」が待ち構えており、重厚でしぶいグレーの石鳥居と、色鮮やかな朱塗りの門との見事な色彩のコントラストを楽しむことができます。また、この南参道は京都の風情ある路地「ねねの道」や高台寺方面へ抜けるしっとりとした道筋につながっており、観光客で賑わう西側の入り口に比べて落ち着いた空気が漂っています。鳥居の足元付近から見上げるようにカメラを構えると、巨大な迫力ある一枚を撮影することができます。
【トリビア】
この石鳥居の両脇には、不思議なことに狛犬(こまいぬ)の姿が見当たりません。実は、過去の絵図などを見るとかつては狛犬が置かれていた記録があるのですが、いつの時代かに失われてしまったと言われています。また、八坂神社の鳥居には「雨垂れ石を穿つ」ということわざを体現するかのように、長年にわたって鳥居から滴り落ちる雨水によって、足元の石畳に見事なくぼみができている箇所があります。何百年という悠久の時の流れを、水滴の跡からリアルに感じ取ることができる隠れた名スポットです。




