【概要】
「声の三井寺」として知られ、天下三名鐘の一つに数えられます。その荘厳な音色は「三井の晩鐘」として近江八景にも選ばれています。伝説では龍神が奉納したとも言われています。
【歴史】
滋賀県大津市にある三井寺(園城寺)の梵鐘は「三井の晩鐘」の名で知られ、近江八景のひとつに数えられてきました。初代の鐘には、俵藤太こと藤原秀郷が竜宮城から持ち帰ったという伝説が残ります。さらに武蔵坊弁慶がこの鐘を奪って比叡山まで引き摺り上げたところ、「イノー、イノー」と鳴いたために腹を立てて谷底へ投げ捨てたという「弁慶の引き摺り鐘」の話も語り継がれています。
【特徴】
現在つり下げられている鐘は1602年に鋳造されたもので、姿の美しさと音色の良さから長く愛されてきました。日本三名鐘は「声の三井寺、姿の平等院、銘の神護寺」と称され、三井寺は音色によってその名を残しています。低く深い響きが長く尾を引き、湖上をわたって遠くまで届くさまは聞く人の心に染み入るようです。除夜の鐘としても人気が高く、多くの参拝者が集まります。
【見どころ】
重要文化財に指定された鐘楼は、桃山時代の様式を伝える見事な造りです。伝説に名高い初代の「弁慶の引き摺り鐘」は霊鐘堂に安置されており、弁慶が引き摺ったとされる傷跡やひび割れを実際に目にすることができます。境内の高台からは琵琶湖を一望でき、鐘の音を聞きながら眺める湖の景色は格別です。冥加料を納めれば、誰でも自分の手で鐘を撞くことができます。
【トリビア】
三井寺の鐘は、環境省が選定した「残したい日本の音風景100選」にも選ばれています。撞いたあとの余韻は長く続き、静けさのなかで耳を澄ませば消え入るまでの音の移ろいを味わえるでしょう。「三井の晩鐘」は近江八景を描いた歌川広重の浮世絵にも登場し、江戸時代の人々にとってもなじみ深い情景でした。除夜の鐘を撞くには整理券が必要になる場合もあります。




