【概要】
青森県八甲田山中にある「谷地温泉」は、開湯400年の歴史を誇る一軒宿です。日本三秘湯の一つに数えられ、ヒバ造りの湯船の底から直接湯が湧き出る「足元自噴」の温泉として知られています。湯治場の雰囲気を色濃く残し、時が止まったような静寂の中で極上の湯浴みが楽しめます。
【歴史】
谷地温泉は青森県十和田市の八甲田山中にたたずむ一軒宿で、開湯から400年の歴史を持つと伝えられます。「谷地」とは湿地を意味する言葉で、高層湿原のなかに湯が湧き出したことがその名の由来とされます。標高800メートル近い山中にあるため、冬には数メートルの雪に閉ざされます。北海道のニセコ薬師温泉、徳島の祖谷温泉とともに日本三大秘湯に数えられ、今も湯治場の風情を色濃くとどめている宿です。
【特徴】
谷地温泉の最大の特徴は、性格の異なる二つの湯船を持つことです。無色透明の「下の湯」は38度前後のぬるめの単純硫黄温泉で、浴槽の底から直接湯が湧き上がる足元自噴になっています。長い時間ゆっくり浸かることで、体の芯まで温もりが行き渡ります。その後に42度ほどの白濁した「上の湯」へ移るのが古くからの入り方とされ、二つを行き来する独特の湯浴みが親しまれてきました。
【見どころ】
谷地温泉の周囲は、八甲田の豊かな自然にすっぽりと包まれています。宿のすぐ近くには湿原を巡る遊歩道があり、初夏には高山植物が咲き、秋には燃えるような紅葉が広がります。冬は一面の雪景色となり、静寂のなかでの雪見風呂は格別です。寒い季節には食堂の窓辺にテンなどの野生動物が姿を見せることもあり、山の生き物との思いがけない出会いも、この宿を訪れる楽しみの一つになっています。
【トリビア】
谷地温泉の湯は古くから傷や病を癒やす霊泉と呼ばれ、湯治客が長く逗留して体を養ってきました。硫黄泉の効能は腰痛や皮膚の疾患にもよいとされ、現在も湯治を目的とした滞在プランが用意されています。八甲田の山中という立地から携帯電話の電波は届きにくく、情報から離れて過ごせる宿としても注目されてきました。冬季は休館日が多いため、訪ねる前に営業日を確かめておくと安心です。
