【概要】
歌垣山は、大阪府能勢町にある標高553.5mの山。かつては男女が集まり、歌を掛け合って配偶者を決める歌垣が行われた場所とされる。山頂付近には「歌垣山公園」や「歌垣之跡」の石碑があり、万葉ロマンを感じさせるハイキングコースが整備されている。
【歴史】
大阪府能勢町にある歌垣山は標高553.5メートルの山で、その名がそのまま古代の行事に由来しているという珍しい山である。万葉の時代からこの山に男女が集い、即興の歌を掛け合って相手を選んだと伝えられ、「摂津の歌垣」として名を残してきた。筑波山、杵島山と並ぶ日本三大歌垣の一つに数えられ、歌垣山という名そのものが、往時の賑わいを今日まで静かに語り継ぐ、生きた証となっている。
【特徴】
歌垣山は男山と女山という二つの峰が並ぶ双耳峰の姿をしており、三角点は女山に置かれている。歌垣の舞台として選ばれた山にはこうした対の峰が多く、男女の神や陰陽の結びつきを重ねて見たためではないかと考えられている。北摂山系の主要な山の一つで大阪50山にも選ばれており、雑木林と杉や檜の植林が入り混じる、静かな山歩きの楽しめる山として登山者に親しまれている。
【見どころ】
男山の山頂は地元の能勢町によって歌垣山公園として整備されており、「かがいの広場」には歌碑や石碑が据えられている。女山の山頂にも「ふれあい広場」があり、展望台に立てば、北摂の山並みが幾重にも連なる眺めを楽しむことができる。麓から山頂まではおおむね一時間ほどの道のりで、春の桜、秋の紅葉と、季節ごとに表情を変える里山の風景をゆっくり味わうことができる。
【トリビア】
歌垣山の周辺には今も棚田と集落が続く里山の風景が残り、大阪の市街地からさほど遠くないとは思えないほど静かな時間が流れている。歌垣という行事は日本だけのものではなく、中国南部や東南アジアの山地に暮らす人々の間にも、若い男女が歌を掛け合う似た習俗が伝えられている。この山に残る古代の記憶は、東アジアに広がる文化のつながりを考えるうえでも興味深い手がかりとなっている。




