【概要】
佐賀県の「嬉野温泉」は、重曹成分(ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉)を多く含む「とろとろ」とした湯ざわりが特徴です。皮脂や分泌物を乳化して洗い流し、湯上りはまるで一皮むけたようなつるつるスベスベの肌になると言われています。飲泉も可能で、胃腸や肝臓の機能を活性化させる効果も期待できます。
【歴史】
嬉野温泉は佐賀県嬉野市にある温泉地で、およそ1300年の歴史を持つと伝えられます。奈良時代の「肥前国風土記」にすでに湯の記述があり、神功皇后が戦の帰りに白鶴が湯に浸かって傷を癒やす姿を見て発見したという伝説も残されています。皇后が思わず「あな、うれしいの」と口にしたことが地名の由来になったとも語られてきました。江戸時代には長崎街道の宿場町として栄え、九州屈指の名湯として知られています。
【特徴】
嬉野温泉は日本三大美肌の湯の一つに数えられ、ぬるりとした肌ざわりの重曹泉(ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉)が湧いています。皮脂や古い角質を乳化させて洗い流す働きがあるため、湯から上がると肌がなめらかに整うと評判です。飲用にも用いられ、この湯で豆腐を煮る「嬉野温泉湯豆腐」はとろけるような食感で知られています。一帯は嬉野茶の産地でもあり、湯とお茶の両方を目当てに訪れる人が絶えません。
【見どころ】
温泉街の中心に建つ公衆浴場「シーボルトの湯」は、大正時代の浴場の姿を再現した大正ロマン風の建物で、嬉野温泉の顔になっています。豊玉姫神社には「なまず様」が祀られており、美肌の神として信仰を集めてきました。名物の嬉野温泉湯豆腐は、温泉水で煮ると汁が白く濁って豆腐がとろりと崩れる不思議な一品です。春は桜並木が美しく、新茶の季節には茶摘み体験も楽しめます。
【トリビア】
嬉野の湯豆腐がとろけるのは、温泉に含まれる炭酸水素ナトリウムが豆腐のたんぱく質を溶かすためで、湯の成分がそのまま料理に生きた例と言えます。ドイツ人医師シーボルトが江戸参府の道中に嬉野を訪れた記録が残り、公衆浴場の名はそれにちなんで付けられました。2022年9月には西九州新幹線が開業して嬉野温泉駅ができ、博多方面からの旅がぐんと身近になっています。
