【概要】
ウグイス(鴬)は、日本人にとって最も古くから親しまれ、最も馴染み深い野鳥の一つです。「春告鳥(はるつげどり)」の異名を持ち、早春に「ホーホケキョ」という特徴的な美しい声で鳴くことで、人々に春の訪れを知らせます。奈良県の曽爾高原のような自然豊かな草地や藪、山林から、時には都市部の公園まで、日本全国に広く生息しています。声は非常によく知られていますが、警戒心が強く茂みの中に隠れていることが多いため、地味なオリーブ褐色の小柄な姿を目にする機会は意外と少ない、というギャップを持つ鳥でもあります。
【歴史】
ウグイス(曽爾高原など)は、「春告鳥」の異名で古くから親しまれてきた、日本を代表する野鳥です。『万葉集』や『古今和歌集』には数多くの歌が詠まれ、梅とともに描かれる「梅に鶯」の取り合わせは、花札の意匠にもなって日本人の美意識に深く根を下ろしました。江戸時代にはさえずりを競わせる鳴き合わせが流行し、飼い鳥文化の中心にもなりましたが、現在は野外で自然のままの声を楽しむのが一般的です。
【特徴】
体長は十五センチメートルほどでスズメと同程度、雌雄ともに背は暗い緑褐色、腹は灰白色という、たいへん控えめな装いをしています。鮮やかな黄緑色を指す「ウグイス色」から連想される姿とは異なり、梅の花にとまって蜜を吸う黄緑色の小鳥は、実は別種のメジロです。ウグイスは警戒心が強く、笹薮や低木の茂みに身を隠して昆虫を探すため、声は届いてもなかなか姿を現してくれません。
【見どころ】
奈良県曽爾村にある曽爾高原は、倶留尊山と亀山の斜面に広がる約三十八ヘクタールのススキの草原で、ウグイスの声を聴くのに適した環境が残されています。春先に「ホーホケキョ」と聞こえてきたら、林の縁や薮の隙間をそっとのぞいてみてください。二月から三月ごろはまだ節回しがたどたどしく、暖かくなるにつれて上達していく過程を味わうのも、この鳥ならではの風流な楽しみ方です。
【トリビア】
「ホーホケキョ」というさえずりは仏教経典の「法華経」を唱えているように聞こえるとされ、ウグイスは古来、縁起のよい鳥として尊ばれてきました。繁殖期以外は「チャッ、チャッ」という地味な地鳴きに変わり、これを「笹鳴き」と呼びます。また「ケキョケキョケキョ」と続けざまに鳴く「谷渡り」は警戒の合図とされます。山梨県と福岡県では、県の鳥にも指定されています。




