【概要】
イトウ(伊富、糸魚)は、サケ目サケ科イトウ属に分類される日本最大の淡水魚です。かつては北海道全域に生息していましたが、環境悪化や乱獲により激減し、現在は道北や道東の一部河川(猿払川や釧路湿原など)にのみ生息する「幻の魚」となっています。体長は1メートルから、最大では1.5メートルを超えるまで成長し、寿命も15年以上と非常に長寿です。サケ科の魚ですが、一生の間に何度も産卵を繰り返すのが特徴。その巨大で精悍な姿から「湿原の王者」とも呼ばれ、日本全国のルアーマン(釣り人)にとって究極の憧れの対象です。環境省のレッドリストでは絶滅危惧種に指定されています。
【歴史】
イトウ(北海道猿払川など)は、サケ目サケ科イトウ属に分類される日本最大の淡水魚で、かつては北海道の全域に加え、本州北部の一部の河川にも分布していたと伝わります。明治以降の開拓に伴う森林伐採や河川改修、ダム建設が産卵場を奪い、乱獲も重なって生息域は急速に狭まりました。現在は天塩川や猿払川、釧路湿原など道北・道東の限られた水系に残るのみで、環境省のレッドリストでは絶滅危惧IB類に指定されています。
【特徴】
成長は非常に遅く、体長1メートルに達するまでにおよそ十年を要し、寿命は15年前後、大きなものは全長1.5メートル近く、体重数十キロにまで育ちます。体色は赤褐色を帯び、背側には黒い小斑点が無数に散り、繁殖期の雄は全身が燃えるような赤い婚姻色に染まります。サケ科でありながら産卵後も死なず生涯に何度も産卵し、食性は獰猛で、成長すると小魚のほかカエルやネズミまで捕らえると言われます。
【見どころ】
聖地として全国に知られるのが、北海道猿払村を流れる猿払川の水系です。地元では猿払イトウ保全協議会などが中心となり、産卵期の禁漁やキャッチ・アンド・リリースの徹底に取り組み、釣り人と地域が協力して資源を守っています。野生の姿に出会うのは容易ではありませんが、北見市の「北の大地の水族館(山の水族館)」では1メートル級のイトウが十匹前後泳ぎ、その迫力を間近で観察できます。
【トリビア】
アイヌの人々はイトウを「チライ」と呼び、伝承や地名にその名を残しました。尻別川の流域では古くから「オビラメ」の名で親しまれ、地元の会が復元と保護に取り組んでいます。釣り人の間では「一メートルを釣るのに十年かかる」と語られ、ヒグマの気配が漂う湿原の川で何日もルアーを投げ続けてようやく出会える相手です。産卵は春の4月から5月、川底の小石の下で営まれます。




