【概要】
富山は、松島四大観のうち麗観と呼ばれる展望地です。宮城県松島町にある標高百十六・八メートルの山で、四大観のなかでは最も高い位置から松島湾をほぼ正面に見下ろせます。山頂には奥州三十三観音の一つ富山観音を祀る大仰寺が建ち、その庭先が展望の場になっています。駐車場から三百段近い石段を登る道が付けられ、静かな境内と湾の眺めを合わせて味わえます。
【歴史】
富山の山頂にある観音堂は、大同年間に坂上田村麻呂が観音像を安置したことに始まると伝えられ、江戸時代の承応三年には伊達政宗の長女五郎八姫によって建て直されました。眺めのよさは早くから知られ、江戸時代後期に仙台藩の儒学者舟山万年が四つの展望地を選んだとき、優美な景色を表す麗観の名がこの山に与えられています。明治九年には明治天皇も登ったと伝えられます。
【特徴】
宮城県松島町にある富山は標高百十六・八メートルで、松島四大観のなかでは最も高く、湾の奥をほぼ正面から見下ろす位置にあります。山名は富山と書いて「とみやま」と読み、麓には仙石線の陸前富山駅が置かれています。県道から入る舗装路で山腹の駐車場まで上がれますが、そこから先は三百段近い石段が続きます。山頂の大仰寺は臨済宗の寺で、境内は木立に囲まれて静かです。
【見どころ】
大仰寺の庭先から眺めると、松島湾に散らばる島々のやわらかな曲線が幾重にも重なり、麗観の名にふさわしい優美な景色が広がります。朱塗りの観音堂は木立のなかでよく目を引き、参道の石段を登り切った先で姿を見せます。眺めは三方に開けているため、湾の奥から外海へ向かって島影の並び方がどう変わっていくかを、手前から奥へと順に読み取れます。
【トリビア】
富山観音は奥州三十三観音の第七番札所で、本尊として千手観音が祀られています。この一帯は平成二十八年度に「政宗が育んだ“伊達”な文化」の構成要素として日本遺産に認定されました。四大観のうち富山と扇谷は同じ町内にありますが、大高森と多聞山はそれぞれ別の市町にあるため、四つを続けて回るには車でかなりの距離を走ることになります。




