【概要】
「こけし発祥の地の一つ」とも言われる。おでこから頬にかけての赤い飾りと、手描きでたっぷりと描かれる花模様が美しい。
【歴史】
宮城県蔵王町の遠刈田(とおがった)温泉で生まれた「遠刈田こけし」は、江戸時代後期から木地師によって作られ始めました。蔵王連峰の山麓に位置するこの地域は、良質な木材が豊富に取れることから木工品づくりが盛んでした。鳴子こけしと同様に湯治客への土産物として発展しましたが、遠刈田こけしは他の産地の職人たちにも大きな影響を与え、東北の「こけし発祥の地の一つ」とも言われるほど深い歴史を持っています。
【特徴】
頭頂部に赤い放射状の飾り模様(手柄)が放射状に描かれ、おでこから頬にかけて赤い八の字の飾りが描かれる華やかで気品のある顔立ちが特徴です。胴体はすらりと細長く直立した形で、ろくろ線は少なく、代わりに「重ね菊」や「梅」、「桜」などの豪華な花模様が手書きでたっぷりと描かれています。切れ長の目と相まって、どこか大人びた、上品で優美な女性を思わせる雰囲気が魅力です。
【見どころ】
遠刈田温泉にある「みやぎ蔵王こけし館」は、緑豊かな自然に囲まれた静かな環境に建ち、全国の伝統こけしをはじめ、貴重な木地玩具など約5,500点が展示されています。東北各地から集められた名工の作品を鑑賞できるほか、もちろん絵付け体験も楽しめます。また、遠刈田温泉のシンボルである大浴場「神の湯」の入り口には、巨大なこけし型のモニュメントが立っており、人気のフォトスポットとなっています。
【トリビア】
遠刈田こけしの胴体に描かれる花模様は、ろくろを回しながら描くのではなく、職人がこけしを手に持って筆で一本一本丁寧に描き上げていきます。そのため、同じ職人が作ったこけしでも少しずつ表情や模様の配置が異なり、一つとして完全に同じものはありません。手描きならではの温かみと、流れるような筆遣いの美しさは、高く評価される芸術的な手工芸品としての価値を持っています。




