【概要】
宮城県多賀城市にある壺の碑(つぼのいしぶみ)とも呼ばれる奈良時代の石碑です。松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で訪れて涙を流したことでも有名で、古代の多賀城創建の歴史や都からの距離が鮮明に刻み込まれている貴重な史跡です。
【歴史】
多賀城碑は奈良時代の天平宝字6年(762年)に、陸奥国府であり鎮守府であった多賀城の改修を記念して建立されました。江戸時代には松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅でこの地を訪れ、「壺の碑(つぼのいしぶみ)」として激しく心を動かされ、涙を流したと記されていることでも非常に有名な歴史的モニュメントです。古代東北の蝦夷平定に向けた前線基地と、都との距離感を今に伝える超一級の歴史資料です。
【特徴】
碑文には、平城京などの都や各国境からの正確な距離、そして大野東人によって多賀城が創建されたことなど、古代の地方行政における軍事・交通の極めて重要な情報が見事な漢字で刻み込まれています。高さおよそ2メートルのどっしりとした石碑で、覆堂(ふくどう)と呼ばれる木造の建物のなかに大切に保護されており、風雨による劣化から守られています。
【見どころ】
最大のハイライトは、松尾芭蕉の時代からロマンを感じさせるその存在感と、碑面に刻まれた力強い古代の文字そのものです。周辺は特別史跡「多賀城跡」として広大な歴史公園が美しく整備されており、政庁跡や南門などの壮大な復元遺跡と合わせて散策することで、1300年前の律令国家の威信と東北の雄大な歴史ロマンにたっぷりと浸ることができます。
【トリビア】
江戸時代に作られた偽物ではないかという論争が長年繰り広げられてきましたが、近代以降の科学的な調査と多賀城跡の発掘調査によって、奈良時代の真作とする見方が定着しました。2024年8月には古文書として国宝に指定され、日本三古碑では那須国造碑に続く二例目の国宝となっています。松尾芭蕉が流した涙は、本物の古代の息吹に触れた感動であったことが裏付けられたのです。
