【概要】
多聞山は、松島四大観のうち偉観と呼ばれる展望地です。宮城県七ヶ浜町の北端、代ヶ崎浜に突き出た標高五十五・六メートルの丘で、松島湾の入口にあたる狭い海峡を間近に見下ろせます。山頂の毘沙門堂の裏手からは、馬放島や地蔵島などの島々と、塩竈の港に出入りする船の行き来が眺められます。駐車場から十分ほどで着く、最も海に近い展望地です。
【歴史】
多聞山という名は、山頂に建つ毘沙門堂の本尊である毘沙門天の別名、多聞天に由来します。松島湾の入口を押さえる位置にあることから、古くから海上の安全を願う信仰の場になってきました。江戸時代後期、仙台藩の儒学者舟山万年が湾を望む四つの景勝地を選んだとき、この丘から見る動きのある眺めは偉観と名づけられ、四大観の一つに加えられています。
【特徴】
宮城県七ヶ浜町にある多聞山は標高五十五・六メートルの丘で、四大観のなかでは最も低く、そのぶん海面との距離が近い展望地です。丘の周りは多聞山展望広場公園として整えられ、駐車場から遊歩道をたどって十分ほどで毘沙門堂に着きます。堂の裏手が展望所になっており、足もとには松島湾と外海をつなぐ狭い海峡が横たわって、潮の流れがはっきり見えます。
【見どころ】
毘沙門堂の裏の展望所からは、目の前に馬放島や地蔵島が浮かび、その奥に松島湾の島々が連なって見えます。偉観と呼ばれた理由は、太平洋から打ち寄せた波が岩に砕ける迫力と、港へ向かう船が次々と海峡を抜けていく動きのある眺めにあります。ほかの三つが湾を静かに見晴らす眺めであるのに対し、多聞山だけは外海の力を正面から受け止めます。
【トリビア】
毘沙門堂の本尊である毘沙門天像は三十三年に一度だけ開帳されると伝えられ、ふだんは厨子に納められています。多聞山を含む松島湾の一帯は国の特別名勝に指定されており、この丘そのものが景観の一部として守られています。展望所へ向かう遊歩道は松林を抜ける短い道ですが、木の間から視界が開けるたびに海峡の形が少しずつ違って見えるのも面白いところです。




