多久聖廟

(たくせいびょう)
📍 佐賀県 多久市🏯 歴史⛰️ 名所

【概要】

江戸時代中期、多久領主・多久茂文によって創建されました。現存する孔子廟としては日本で最も古いものの一つであり、壮麗な中国風の建築様式と、内部の豪華な装飾画が特徴です。

【歴史】

多久聖廟は佐賀県多久市にある孔子廟で、宝永5年(1708)に竣工しました。建立を発願したのは佐賀藩の重臣で多久領の第4代領主・多久茂文で、教育振興による人材育成を目指し、元禄12年(1699)にまず学問所を設けて講堂に孔子像を安置しました。その後、椎原山の麓に廟を建てて像を遷したのが現在の多久聖廟です。学問所は後に東原庠舎と呼ばれ、多久の教育の中心として多くの人材を育てました。

【特徴】

多久聖廟は現存する孔子廟として足利学校、閑谷学校に次ぐ古さで、創建当時の建物がそのまま残る点で貴重とされ、昭和25年(1950)に国の重要文化財に指定されました。建築は桁行三間の禅宗様仏殿形式を基本としつつ、軒下の彫刻や文様に中国風の意匠を凝らし、内部には孔子像と顔回・曾子・子思・孟子の四配を祀ります。石畳の参道や周囲の石塀とあわせて、山間の静かな空間に異国情緒が漂います。

【見どころ】

聖廟の前庭には大正14年(1925)に植えられた楷の木があり、中国・曲阜の孔子墓所の楷から採った種子を白澤保美博士が育てたものと伝わります。秋には紅葉が廟の彩色と映えます。隣接する多久市郷土資料館では聖廟や東原庠舎の資料を展示し、周辺には孔子像や東原庠舎跡も点在します。毎年4月と10月に営まれる釈菜では、中国風の衣装をまとった参列者が雅楽の調べの中で古式の儀式を執り行います。

【トリビア】

多久茂文は身分を問わず学問を開くべきだとして領内の教育に力を注いだと伝わります。東原庠舎からは、明治期に電気工学の先駆者となった志田林三郎や、儒学者の草場佩川らを輩出しました。多久聖廟の釈菜は宝永期以来300年余り続くとされ、多久市は「孔子の里」を掲げてまちづくりを進めています。廟の建築意匠は中国風ですが、構造は禅宗様という日本の伝統技法で組み上げられた、和と漢が融合した稀有な建築です。

📅 最終更新: 2026/9/7
多久聖廟
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です