水府葉

(すいふば)
📍 茨城県 常陸太田市🥢 名産🏯 歴史📦 その他

【概要】

茨城県北部の水府地域(現・常陸太田市など)で生産された水府葉は、肉厚で香味が強く、関東を代表する銘葉として知られた。水戸徳川家の奨励により発展し、江戸の庶民に愛用された。特に刻みタバコとしての品質が高く評価されていた。

【歴史】

水府葉は、茨城県常陸太田市の赤土(あかつち)の地を発祥とする刻みたばこ用の在来品種です。慶長13年(1608年)ごろ、安元院の僧の弟子であった金田治兵衛が栽培を始めたと伝えられ、その地には水府煙草栽培起源の碑が建てられています。水戸藩が藩の産物として奨励したことで久慈川流域の村々に広がり、水府煙草の名で江戸の市場へ運ばれて評判を高め、山間の農家を支える現金作物となりました。

【特徴】

水府葉は葉肉が厚く、香味が濃厚で力強いことが最大の身上とされ、繊細な国分葉とは対照的な個性を持っていました。産地の丘陵地は昼夜の寒暖差が大きく、痩せた土地でもよく育つ葉たばこは山あいの暮らしを支える貴重な収入源となりました。刻んだときに縮れが出にくく火持ちがよいことから上質な刻みたばこの原料として重宝され、水戸藩も産地の保護と品質の管理に力を注ぎ、銘葉としての評価を守りました。

【味わい】

水府葉の刻みたばこは、煙管で喫すると濃く重い煙が立ちのぼり、しっかりとした喫味を好む江戸の職人や町人に支持されました。強い香味は少量でも満足感が高く、仕事の合間の一服に向くと評され、煙管を叩いて灰を落としては詰め替える光景が町のあちこちで見られました。紙巻きたばこの普及とともに需要は細り、在来品種としての栽培は途絶えましたが、その名は今も語り継がれています。

【トリビア】

明治10年(1877年)の第一回内国勧業博覧会で赤土村の水府煙草が一等賞を得たことは、水府葉の品質を世に知らしめた出来事として語り継がれています。明治40年(1907年)からは国分葉、秦野葉とともに皇室献上たばこの原料に用いられました。たばこ畑の転作が進んだ地域から常陸秋そばの産地が育ったとも言われ、今は全国有数の蕎麦どころとしても知られています。

📅 最終更新: 2026/9/6
水府葉
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です