【概要】
精進湖は、富士五湖のなかで最も小さな湖です。山梨県富士河口湖町にあり、面積は〇・五平方キロメートルほど、最大水深も十五メートルしかありません。北岸から眺めると手前の大室山が富士山にそっと抱かれたように見え、「子抱き富士」と呼ばれる独特の構図になります。明治期に英国人が見出し、「ジャパン・ショージ」の名で海外に知られた避暑地の舞台でもあります。
【歴史】
精進湖は、八六四年の貞観大噴火で「せの海」が青木ヶ原溶岩に分断され、残った水域が西湖とこの湖に分かれてできたとされます。一八九四年に来日した英国人ハリー・スチュワート・ホイットウォースは、翌年、湖を見下ろす高台に精進ホテルを開きました。彼がロンドンの新聞に「東洋のスイス」と寄せたことで、この湖は海外に知られていきます。
【特徴】
湖面の標高は約九百メートルで、西湖や本栖湖と同じ高さにそろいます。五湖でいちばん小さいぶん対岸が近く、どこから見ても湖と森と富士山が一枚の絵に収まります。水は栄養分が多く緑がかっており、コイやワカサギ、ヘラブナが育ちます。湖畔には大きな建物が少なく、視界に人工物がほとんど入らない眺めがいまも残されています。
【見どころ】
北岸の国道沿いから望む「子抱き富士」は、手前の大室山を子に見立てた精進湖ならではの構図で、朝夕の光によって表情が大きく変わります。湖の北には、水位が上がるときだけ姿を現す赤池があり、「幻の六番目の湖」として知られます。東の峠道にあるパノラマ台へ三十分ほど登れば、精進湖と本栖湖、そして富士山を一度に見渡せます。
【トリビア】
赤池が現れるのは数年に一度で、地下で精進湖とつながっているためだと考えられています。精進ホテルは日本の山岳リゾートの草分けで、明治末から昭和初期には外国人客でにぎわい、この湖は日本有数の避暑地として名を知られました。二〇一三年には精進湖も世界文化遺産「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産に登録されています。




