【概要】
江戸時代前期に岡山藩主・池田光政によって創設された、日本最古の「庶民のための公立学校」です。国宝の講堂とともに、独特の備前焼瓦を使用した聖廟は、厳かで美しい景観を誇ります。
【歴史】
閑谷学校は岡山県備前市の閑谷にある学校跡で、寛文10年(1670)に岡山藩主の池田光政が家臣の津田永忠に命じて創建した。武士だけでなく農民や町人の子弟にも門戸を開いた、日本最古の庶民のための公立学校とされる。元禄14年(1701)に講堂が現在の姿に建て替えられ、石塀もこの時に整えられた。明治以降も閑谷黌、閑谷中学校として学びの場であり続け、跡地は国の特別史跡に指定されている。
【特徴】
閑谷学校の建物は屋根に備前焼の瓦を用いているのが最大の特徴で、赤褐色の重厚な屋根が周囲の緑に映える。講堂は昭和28年(1953)に国宝に指定され、拭き漆の床は今も鏡のように光る。孔子を祀る聖廟は貞享元年(1684)の建立で、内部の八角形の須弥壇に金銅製の孔子像を安置し、床には備前焼の亀甲形の敷瓦が敷き詰められている。周囲を巡る石塀は精緻に組まれ、雨水がたまらない構造で知られる。
【見どころ】
閑谷学校の聖廟前には2本の楷の木がそびえる。大正4年(1915)に中国・曲阜の孔子墓所から持ち帰られた種子から育てられたもので、秋には一本が紅、一本が黄に色づき、多くの人が紅葉狩りに訪れる。講堂では今も児童生徒による論語の朗誦が行われる。毎年10月には孔子を祀る「釈菜」が営まれ、厳かな儀式が公開される。校門の鶴鳴門、光政を祀る閑谷神社、資料館なども見学でき、谷全体が学びの聖域といえる。
【トリビア】
光政は学校の永続を願い、講堂の周囲に火災を防ぐための火除山を築き、運営資金を賄う学田や学林まで用意した。石塀は全長約765mに及び、内部に小石を詰めて排水性を高めた造りで、300年以上を経ても崩れていない。閑谷学校は平成27年(2015)に足利学校、弘道館、咸宜園とともに「近世日本の教育遺産群」として日本遺産に認定された。聖廟の孔子像は京都の名工が鋳造したものと伝わる。




