【概要】
知床は北海道の北東端でオホーツク海に突き出た知床半島と、その沿岸の海を範囲とする世界自然遺産で、斜里町と羅臼町にまたがります。2005年に国内で3番目の自然遺産として登録されました。冬に押し寄せる流氷が育む海の恵みが、川をさかのぼるサケやマスを通じて森のヒグマやシマフクロウへとつながる、海と陸が一体となった生態系と、希少な生きものの豊かさが評価されています。
【歴史】
知床の名は、アイヌ語で大地の突端を意味するシリエトクに由来するとされます。一帯は1964年に知床国立公園に指定され、1977年には斜里町が、開拓の跡地を全国からの寄付で買い取って森に戻す、しれとこ100平方メートル運動を始めました。こうした保護の積み重ねを経て2005年7月に世界自然遺産に登録され、屋久島と白神山地に続く国内3番目の自然遺産となりました。
【特徴】
知床の海は、北半球で季節的な海氷ができる最も南の海にあたります。流氷が去る春には植物プランクトンが大量に増え、それを起点に魚や海鳥、海の哺乳類へと命がつながります。産卵のために川をさかのぼるサケやマスは、ヒグマやシマフクロウ、オジロワシの餌となり、海の養分を森へ運びます。登録では、この海と陸のつながりを示す生態系と、希少な種を多く含む生物多様性の二つの基準が認められました。
【見どころ】
北海道斜里町にある知床自然センターは、知床五湖や知床峠へ向かう道の分かれ目に立つ拠点施設で、ここから草原の遊歩道を歩いてフレペの滝の展望台へ向かえます。その先の知床五湖では高架木道から知床連山を望め、原生林をめぐる地上遊歩道は時期によってレクチャーの受講やガイドの同行が必要です。半島の先端部には車道がなく、断崖や滝は観光船から眺めます。利用のルールや期間は変わることがあります。
【トリビア】
知床半島はヒグマが高い密度で暮らす地域として知られ、市街地や道路沿いに姿を見せることも珍しくありません。食べ物を与えたり近づいたりすると人に慣れたクマが生まれ、やがて駆除せざるを得なくなるため、クマとの距離を保つことが訪れる人の基本の作法とされています。冬には羅臼側の根室海峡にも流氷が入り、オオワシやオジロワシが氷の上に集まる光景が見られます。
