【概要】
白神山地は青森県と秋田県にまたがる山地で、人の手がほとんど入っていない原生的なブナ林が広がっています。1993年12月に屋久島とともに日本で初めて世界自然遺産に登録され、遺産地域は両県あわせて16,971ヘクタールです。登録基準は生態系にかかわる一つで、開発の及んでいないブナの原生林がまとまった広さで残り、多様な動植物を育む森の営みが今も続いている点が評価されました。
【歴史】
白神山地の保護が大きく動くきっかけとなったのは、1982年に動き出した青秋林道の建設計画でした。青森県と秋田県を山越えで結ぶこの林道に対し、ブナの森を守ろうとする反対運動が広がり、異議意見書も相次いで工事は凍結されます。その後、1990年に林野庁の森林生態系保護地域、1992年に国の自然環境保全地域に指定され、翌1993年に日本初の世界自然遺産として登録されました。
【特徴】
遺産地域は16,971ヘクタールで、およそ4分の3が青森県側、4分の1が秋田県側にあります。中心の核心地域10,139ヘクタールを緩衝地域が取り囲む構成で、緩衝地域でも核心地域と同じ種類の動植物や地形に出会えます。冬に深い雪が積もる日本海側の気候のもとで育ったブナ林には、天然記念物のクマゲラやニホンカモシカなどが暮らし、森の奥から流れ出す川が周りの里を潤しています。
【見どころ】
青森県西目屋村にある白神山地ビジターセンターは、ブナの森の成り立ちや四季の姿を展示と大型の映像で紹介する施設で、遺産地域を訪ねる前の玄関口になっています。村の奥には一周1時間ほどでブナ林をめぐる散策路や、三つの滝が連なる暗門の滝へ向かう暗門渓谷ルートがあります。暗門渓谷ルートは大雨の被害で通れない区間が出るなど年によって状況が変わるため、事前の確認が欠かせません。
【トリビア】
白神山地の核心地域への立ち入りは、青森県側と秋田県側で扱いが異なります。青森県側では2003年から、指定された27のルートに限って届け出をすれば登山ができる仕組みになりました。一方の秋田県側は、貴重な動植物が残る川の源流部であることから、学術研究などを除いて原則として入山できません。見直しを求める声もあり、こうした決まりは今後変わることがあります。
