【概要】
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島は、鹿児島県と沖縄県にまたがる4つの島の森をひとつにまとめた世界自然遺産で、2021年に国内5番目の自然遺産として登録されました。かつて大陸とつながっていた島々が海で隔てられるなかで、生きものが島ごとに独自の進化を遂げ、アマミノクロウサギやヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど、ここにしかいない絶滅危惧種が数多く暮らしています。
【歴史】
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島は、2013年1月に世界遺産の暫定一覧表に記載され、2017年2月に推薦書が提出されました。しかし2018年5月にユネスコの諮問機関から登録の延期を勧告され、政府は推薦をいったん取り下げます。区域を見直し、外来種への対策も強めたうえで2019年2月に再び推薦し、2021年7月の世界遺産委員会で登録が決まりました。
【特徴】
4つの島はいずれも亜熱帯の常緑広葉樹林に覆われ、島々が大陸から切り離されていく長い時間のなかで、取り残された生きものが島ごとに固有の種へと分かれていきました。奄美大島と徳之島のアマミノクロウサギ、沖縄島北部のヤンバルクイナやノグチゲラ、西表島のイリオモテヤマネコはその代表です。登録は生物多様性の基準によるもので、絶滅が心配される固有種が数多く暮らす場所として評価されました。
【見どころ】
鹿児島県奄美市にある金作原では、ヒカゲヘゴなどの大きな木生シダが茂る亜熱帯の森を、ガイドとともに歩けます。沖縄島北部はやんばると呼ばれ、深い森にヤンバルクイナが暮らします。西表島では、沖縄県で最も長い浦内川や仲間川を遊覧船でさかのぼり、川岸に続くマングローブの森を眺められます。各地でガイドの同行や受け入れ人数の目安などの利用ルールが設けられており、内容は変わることがあります。
【トリビア】
島々の道路では、アマミノクロウサギやヤンバルクイナが車にはねられる事故が毎年のように起きており、夜はゆっくり走るよう呼びかけられています。また、ハブの駆除を目的に持ち込まれたマングースや、野生化した猫が希少な生きものを襲うことが問題となり、捕獲などの対策が長く続けられてきました。人の暮らしのすぐそばに貴重な森があることが、この遺産を守る難しさでもあります。
