【概要】
瀬戸秋月は、瀬戸神社の前に開けた瀬戸の水辺と、その水面に映る秋の月を眺める景色で、金沢八景のひとつです。瀬戸は平潟湾と内川の入江とを結んだ狭い水路で、潮の満ち引きのたびに水が勢いよく出入りしました。奥の入江は埋め立てられて往時の眺めは失われましたが、瀬戸神社と琵琶島神社は今も残り、月の名所の舞台を伝えています。
【歴史】
瀬戸神社は、治承四年にあたる1180年に源頼朝が伊豆の三島明神を勧請したと伝えられる古社で、神奈川県横浜市金沢区にある瀬戸の地に鎮座しています。鎌倉と六浦の湊を結ぶ道が通るこの地は海上交通の要所で、海の神として武家の崇敬を集めました。心越禅師の八景では、瀟湘八景の洞庭秋月にあたる題としてこの瀬戸の月が選ばれています。
【特徴】
瀬戸という名は、平潟湾と内川の入江とを隔てる狭い水路に由来します。満ち潮と引き潮のたびに水が勢いよく出入りし、秋の夜にはその揺れる水面に月の光が映りました。八景のなかで月を題にしたのは瀬戸秋月の一景だけで、夕暮れや雪の景色が多いなかで、澄んだ夜空と水面の光という、もっとも華やかな夜の情景を受け持っています。
【見どころ】
瀬戸神社の向かいには、北条政子が琵琶湖の竹生島から弁財天を勧請したと伝わる琵琶島神社が、平潟湾に突き出した小さな島に祀られています。二つの社をあわせて歩けば、八景の舞台のなかでも往時の面影をよく残す一角を味わえます。秋の夜は湾の水面に月が映ることもあり、島へ渡る参道のあたりから眺めるのがおすすめです。
【トリビア】
金沢八景という名は、八つの景色を指す名数でありながら、京急本線の駅名に使われたことで、いまでは駅のまわりの地名のように親しまれています。瀬戸神社はその金沢八景駅のすぐ近くにあり、八景の舞台のなかでもっとも訪ねやすい一つです。駅名だけを知っていた人が、ここで初めて八景の由来に触れることも少なくありません。
