【概要】
野島夕照は、平潟湾の口に浮かぶ野島と、その空を赤く染める夕日の景色で、金沢八景のひとつです。八景の舞台のなかで、島の丘という地形がもっともよく残る場所で、いまは野島公園として整えられています。丘の上の展望台からは湾と町並みを見晴らせ、空気の澄んだ日には西の空に富士山のシルエットが浮かぶこともあります。
【歴史】
野島には縄文時代の野島貝塚があり、はるか昔から人々が海の幸に頼って暮らしてきたことがわかっています。江戸時代には漁村が開け、心越禅師の八景では、瀟湘八景の漁村夕照にあたる題として、この島の夕景が選ばれました。明治時代には伊藤博文が島に別邸を構え、その建物は平成に入って旧伊藤博文金沢別邸として復元されています。
【特徴】
夕照とは、夕日が照り映える景色のことをいいます。本家の漁村夕照が水辺の村の夕暮れを描く題であるように、野島夕照も、漁師の家が並ぶ島が西日に染まる情景を指しています。ほかの景の多くが埋め立てで姿を変えたなかで、野島は小高い丘を持つ島の形をいまも保っており、八景の地形をもっともよく伝える場所になっています。
【見どころ】
神奈川県横浜市金沢区にある野島公園の丘には展望台があり、平潟湾や金沢の町並み、その向こうの丘陵を一望できます。夕方には湾の水面が茜色に染まり、題の情景をそのままたどることができます。空気の澄んだ季節には富士山が見えることもあり、日没の前後は眺めがとくに美しくなります。園内の施設の利用時間は変わることがあります。
【トリビア】
野島と対岸の平潟とを結ぶ橋は夕照橋と名付けられ、八景の題がそのまま橋の名に受け継がれています。また、沖の埋立地に造られた人工島の八景島の名も、金沢八景にちなんで付けられたもので、水族館や遊園地のある行楽地として知られています。島の名や橋の名をたどると、浮世絵の時代から続く八景の記憶が、形を変えながら町のあちこちに生きていることがわかります。
