【概要】
瀬田夕照は、瀬田の唐橋と瀬田川の川面が夕日に染まる景色で、近江八景のひとつです。橋は琵琶湖から流れ出る唯一の川に架かり、中島を挟んで大橋と小橋に分かれる姿が古くから絵に描かれてきました。橋そのものは幾度も架け替えられていますが、夕暮れに川面が赤く光り、長い橋が影を落とす眺めは今も見ることができます。
【歴史】
瀬田の唐橋は、東海道や東山道から京へ向かう者が必ず渡らねばならない要所で、唐橋を制する者は天下を制すといわれてきました。壬申の乱では大友皇子方が橋板を外して大海人皇子方を待ち受けた場として『日本書紀』に記され、これが文献にあらわれる最初です。以後も承久の乱や建武の戦いの舞台となり、そのたびに焼き落とされてきました。
【特徴】
瀬田夕照という題は、瀬田川の川面に夕日が映り、長い橋がそこに影を落とす情景を指します。滋賀県大津市にある今の橋は、昭和四十九年にあたる1974年に工事が始まり、1979年に竣工した全長二百二十三メートルほどの道路橋です。中島を挟んで大橋と小橋に分かれる形は、豊臣秀吉が架けたときからのものと伝えられます。
【見どころ】
橋の欄干には青銅の擬宝珠が並び、文政や明治の銘の入ったものが今も受け継がれています。平成二十四年にあたる2012年に橋は唐茶色に塗り替えられ、夕日を受けると落ち着いた色合いに沈みます。歩道が付いているので歩いて渡れますが、片側一車線で交通量の多い生活道路なので、足もとと車の流れに気をつけて歩きましょう。
【トリビア】
室町時代の連歌師の宗長が詠んだとされる、もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋という歌が、ことわざの急がば回れの由来だと伝えられています。対岸の矢橋から船で渡れば近道でしたが、比良おろしの強い風で危ういため、遠回りでも橋を選べという意味です。橋は日本三名橋や日本の道百選にも選ばれています。




