【概要】
西湖は、富士五湖のなかで最も観光開発が進んでいない静かな湖です。山梨県富士河口湖町にあり、面積は五湖で四番目ながら、最大水深は七十メートルを超えて本栖湖に次ぐ二番目の深さになります。青木ヶ原樹海に接した湖岸には民宿やキャンプ場が点在するだけで、大きなホテルや遊覧船はありません。二〇一〇年には絶滅したはずの魚クニマスがこの湖で再発見されました。
【歴史】
西湖は、八六四年に始まる貞観大噴火の溶岩流によって生まれました。それ以前、いまの西湖から精進湖、本栖湖にかけての一帯には「せの海」と呼ばれる大きな湖が広がっており、流れ込んだ青木ヶ原溶岩に埋められた結果、残った水域が西湖と精進湖に分かれたとされます。湖の東に広がる青木ヶ原樹海は、その溶岩の上に育った森です。
【特徴】
湖面の標高は約九百メートルで、精進湖や本栖湖と同じ高さにそろいます。三つの湖の水位が似た動きをすることから、地下の溶岩層を通じて水がつながっていると考えられてきました。最大水深七十一・七メートルの深い水は青みが強く、湖岸は切り立った斜面が多いため水際まで森が迫ります。観光施設が少ないぶん、湖上はカヌーや釣りの静かな時間が流れます。
【見どころ】
西湖の西岸には、茅葺きの民家を並べた西湖いやしの里根場があり、富士山を背にした昔の集落の風景を歩いて楽しめます。青木ヶ原樹海側には溶岩が流れたあとにできた西湖コウモリ穴が開き、湖の水位と連動して水が満ちる竜宮洞穴もひそんでいます。北岸の野鳥の森公園も、森と湖をあわせて味わえる散策向きの場所で、対岸には富士山が大きく構えます。
【トリビア】
一九六六年九月二十五日、台風二十六号の豪雨で湖の南岸にあった根場と西湖の集落が土石流に襲われ、死者・行方不明者九十四人という足和田災害が起きました。集落は移転し、跡地は災害から四十年の二〇〇六年にいやしの里として整えられました。秋田県田沢湖で絶滅したクニマスがこの湖で生きていたと確認されたのは、二〇一〇年のことです。




