【概要】
京都市は六大都市の一つで、千年の都という歴史を背負いながら近代化に挑んだ都市です。1889年の市制特例では東京市・大阪市と同じ扱いを受け、市長を置かず府知事が兼ねる体制が続きました。1922年には六大都市の一角となります。琵琶湖疏水の電力が織物や機械の工業を育て、寺町通御池には1927年竣工の市役所本庁舎が現役の庁舎として建ち続けています。
【歴史】
明治維新で天皇が東京へ移ると、京都市の母体となった町は深刻な人口流出に見舞われました。府と市は勧業政策に活路を求め、1890年に第一疏水が通じた琵琶湖疏水で水運と水力発電を確保します。1889年の市制施行では市制特例により市長を欠いたまま出発しましたが、1898年の撤廃を経て自治を確立し、1922年に六大都市の一つに数えられました。
【特徴】
京都市の近代は、西陣織や友禅染といった伝統産業と、疏水の電力に支えられた新しい工業とが同居する形で進みました。1895年には日本初の営業用電気鉄道が市内を走り、精密機械や染織機械の工場も次々に育ちました。1920年の第一回国勢調査では人口約59万人を数え、六大都市のなかでは東京市・大阪市・神戸市に次ぐ四番目の規模を占めていました。
【見どころ】
寺町通御池に建つ京都市役所本庁舎は、1927年に第一期が竣工した鉄筋コンクリート造の庁舎です。京都市の営繕課が設計にあたり、建築家の武田五一が顧問として関わりました。中央の塔屋を高く立ち上げ、階段室にイスラム風の意匠まで織り込んだこの庁舎は、政令指定都市の本庁舎として最も古く、2025年3月に国の登録有形文化財へ登録されました。
【トリビア】
六大都市は当時の人口上位六市を並べたものでしたが、その顔ぶれは都市の成長とともに変わりました。京都市は戦後、札幌市や福岡市など後発の大都市に人口で追い抜かれています。それでも1956年の政令指定都市制度の発足時に指定された最初の五市の一つであり、区を置く大都市としての枠組みは六大都市の時代から途切れていません。
