【概要】
愛媛県大洲市の「いもたき」は350年以上の歴史を持つ秋の風物詩。肱川流域で育った粘り気の強い里芋を鶏肉・油揚げ・こんにゃくとともに醤油ベースのほんのり甘いスープで煮込む。秋の夜に肱川の河原で提灯の灯りのもと大鍋を囲む光景は絶景である。
【歴史】
大洲のいもたきは約350年以上前の藩政時代から続く秋の伝統行事である。かつて農民たちが収穫を祝い親睦を深める「お籠もり」という集会で、各自が特産の里芋を持ち寄って大鍋で煮たのが始まりとされる。肱川の河原に集まり、月明かりの下で鍋を囲むという風習は江戸時代から脈々と受け継がれてきた。1966年からは観光事業として整備され、毎年9月から10月にかけて肱川河畔に会場が設営される秋の風物詩となっている。
【特徴】
大洲のいもたきは肱川流域の肥沃な土壌で育った粘り気の強い里芋が主役である。鶏肉、油揚げ、こんにゃく、しいたけ、人参、ごぼうなどの具材を醤油ベースのほんのり甘い味付けで煮込む。スープは鶏ガラと昆布で取った出汁に砂糖と醤油を加えた優しい甘辛味で、里芋のねっとりとした食感と相まって心温まる味わい。大洲の里芋は「伊予美人」というブランド品種もあり、滑らかな舌触りと豊かな風味が特徴的である。
【見どころ】
秋の夜に肱川の河原で開催される「いもたき」は、提灯の灯りが川面に映り込む幻想的な光景が最大の見どころ。数百人が河原に並ぶ長テーブルで大鍋を囲み、秋の夜風を感じながらいもたきを楽しむ体験は大洲ならでは。大洲城のライトアップを背景に食べるいもたきは格別の味わい。予約制の団体席から飛び込み参加まで対応しており、地元の日本酒とともに楽しむのが通の楽しみ方である。
【トリビア】
大洲のいもたきは全国的にも珍しい「観光いもたき」として事業化に成功した先駆的な例で、毎年約5万人の来場者を集める。肱川は日本有数の清流として知られ、この水で育つ里芋の品質は格別とされる。大洲は「伊予の小京都」とも呼ばれる歴史ある城下町で、臥龍山荘など国の重要文化財も多い。いもたきの「たき」は「炊き」を意味し、愛媛では芋を「煮る」ではなく「炊く」と表現する。大洲市では小学校の行事としてもいもたきが行われている。




