【概要】
愛知県津島市の津島神社で行われる祭礼で、600年近い歴史を持ちます。宵祭では、提灯を半球状に飾った「巻藁船(まきわらぶね)」が天王川に浮かび、その優美さは「日本の祭りの中でも特に華麗」と称されます。
【歴史】
愛知県津島市にある津島神社の祭礼として、600年近い歳月にわたって受け継がれてきたのが尾張津島天王祭です。疫病や災厄をもたらすと恐れられた怨霊を鎮める御霊会に起源をもち、牛頭天王を祀る社の祭りとして各地に広まった天王祭の流れをくんでいます。1980年には「尾張津島天王祭の車楽舟行事」として国の重要無形民俗文化財に指定され、地域の宝として守られてきました。
【特徴】
祭りは7月第4土曜の宵祭と、その翌日の朝祭という二日構成になっています。宵祭では2艘の舟をつないだ上に真柱を立て、一年の月数にちなむ12個の提灯を掲げたうえで、日数にちなむ365個の提灯を半円形に飾り付けた巻藁船が5艘、天王川に浮かびます。翌朝には提灯をすべて外し、能人形や置物などで華やかに飾り立てた車楽船へと姿を変え、朝日を浴びながら川面を漕ぎ進みます。
【楽しみ方】
会場となる天王川公園では、日が沈むとともに巻藁船の提灯にひとつずつ火が入り、水面に映る無数の灯りが揺らめく幻想的な光景が広がっていきます。囃子の音色が夜空に響くなか、ゆっくりと川面を進む船の姿は尾張の夏を代表する風物詩です。翌朝の朝祭では市江車から10人の鉾持ちが川へ飛び込み、布鉾を掲げて泳ぐ勇壮な場面が繰り広げられ、宵祭とは対照的な明るさに包まれます。
【トリビア】
2016年には「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコの無形文化遺産に登録され、尾張津島天王祭の名は国際的にも広く知られるようになりました。津島はかつて木曽川の水運によって栄えた湊町であり、そこで蓄えられた豊かな経済力が豪華絢爛な祭りを支えたと伝わります。織田信長や豊臣秀吉もこの祭りを愛し、船から見物したと語り継がれており、歴史の香りが今も色濃く漂います。




