【概要】
福島県猪苗代町の磐椅神社に立つ八重桜で、会津五桜の一つに数えられます。天暦元年に村上天皇の勅使が京から移し植えたと伝えられ、代を重ねながら受け継がれてきました。花弁が七十枚を超えることもある菊咲きで、白く咲いた花がしだいに淡い紅色へ、やがて鹿の毛色に似た色へと変わっていくことが大鹿桜という名の由来です。
【歴史】
福島県猪苗代町にある磐椅神社の社殿の手前に立つ大鹿桜は、天暦元年に村上天皇の勅使が参拝した際、京から移し植えたものと伝えられています。以来千年あまり、代を重ねながら受け継がれてきた名木として、会津五桜の一つに数えられてきました。町の天然記念物に指定され、磐梯山の神を祀る社の象徴として親しまれています。
【特徴】
菊咲きと呼ばれる八重のサトザクラで、花弁の数が七十枚を超えることもあります。咲きはじめは白く、日がたつにつれて淡い紅色に変わり、やがて鹿の毛色に似た色合いになることが大鹿桜という名の由来とされます。花の時期が長く続くことから「翁桜」の別名でも呼ばれ、一本の木で色の移ろいをゆっくり楽しめるのが持ち味です。
【見どころ】
標高およそ五百八十メートルの高台にあるため開花は遅く、見頃は例年四月下旬から五月上旬ごろです。年によって時期は前後するので、出かける前に開花の便りを確かめると安心です。杉の木立に囲まれた参道を進むと社殿の手前に姿を現し、静かな森の中で白から紅へ移ろう花を見上げることになります。境内にはえんむすび桜もあります。
【トリビア】
いま見られる大鹿桜は、勅使が植えたと伝わる最初の木そのものではなく、代を継いできた後継の木と説明されています。近年は樹勢の衰えが心配され、神社が広く資金を募って保護に取り組んだこともありました。千年の伝承を持つ桜であっても、その姿は世代ごとに移り変わっていくものだと知っておくと、花の見方がいっそう深まります。




