【概要】
福岡県久留米市の大善寺玉垂宮で行われる、1600年の歴史を持つ追儺(ついな)の神事です。国の重要無形民俗文化財に指定されています。直径1メートル、長さ13メートルの巨大な「日本一」の大松明6本が、締め込み姿の数百人の氏子によって境内を引き回されます。
【歴史】
大善寺玉垂宮の鬼夜は、福岡県久留米市にある玉垂宮で、毎年1月7日の夜に営まれる追儺の神事です。仁徳天皇の時代に藤大臣が悪鬼を退治したという故事に由来すると伝わり、1600年余りの歴史を誇るとされる、国内でも屈指の古い火祭りです。年の初めに鬼を追い払い、一年の災厄を除く行事として絶えることなく続けられ、平成6年(1994年)には国の重要無形民俗文化財に指定されました。
【特徴】
祭りの主役は日本一と称される6本の大松明で、長さは約13メートル、頭部の直径は約1メートル、重さは約1.2トンにも達します。締め込み姿の氏子若衆数百人が、カリマタと呼ばれる二股の樫棒でこれを支え、燃え盛らせながら本殿の周囲を巡ります。境内の灯りをすべて消したうえで行われるため、闇の中を進む炎の柱だけが浮かび上がり、その光景が鬼夜を他に類のない神事にしています。
【楽しみ方】
見どころは、境内の灯りが落とされたのち6本の大松明に火が入り、火の粉を散らしながら本殿の周りを巡る場面です。この火の粉を浴びると一年を無病息災で過ごせると伝わり、観衆は熱気の届く距離で待ち構えます。鐘と太鼓が鳴り響くなか、汗と煙にまみれた男たちが巨大な炎を操る姿は圧巻です。厳寒の深夜まで続くため、防寒と、火の粉で傷んでもよい服装で出かけると安心です。
【トリビア】
鬼夜という名は、追われる鬼の存在に由来します。ここでの鬼は退治される一方で、鬼面尊神として社に祀られる存在でもあり、鬼面を用いる所作は人目に触れぬよう厳重に行われると伝わります。祭りの終盤には燃え残った松明の消し炭が授けられ、火除けや厄除けのお守りとして持ち帰る人が絶えません。大善寺玉垂宮の鬼夜は、筑後路の正月を締めくくる風物詩として親しまれています。




