【概要】
奈良県南部、吉野から熊野へ連なる大峰山脈の総称で、狭義には天川村の山上ヶ岳を指します。7世紀末に修験道の開祖・役行者が蔵王権現を感得した地と伝わり、山頂の大峯山寺は修験道の根本道場です。今も女人禁制を守る山として知られ、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部です。
【歴史】
大峰山の歴史は7世紀末、役行者が山上ヶ岳で千日の修行の末に蔵王権現を感得し、修験道を開いたことに始まると伝えられます。平安時代には貴族の熊野詣の道として大峯奥駈道が整備され、吉野から熊野まで険しい峰々を踏破する修行が確立しました。江戸時代には各地の講が結成されて登拝が盛んになり、2004年には熊野や高野山とともに世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されました。
【特徴】
山上ヶ岳の山頂には修験道の根本道場である大峯山寺の本堂が建ち、江戸時代に再建された堂は重要文化財に指定されています。周辺には西の覗や鐘掛岩など、断崖に身を乗り出して行う荒行の場が今も残ります。大峰山は現在も女人禁制を守る数少ない霊山で、登山口の洞川には女人結界門が立ち、その是非が議論を呼びながらも、千三百年続く伝統として維持されています。
【見どころ】
登拝の拠点となる天川村洞川は、旅館や土産物店が並ぶ古い温泉街で、初夏には清流にホタルが舞います。山上ヶ岳への登拝は例年5月3日の戸開式から9月23日の戸閉式までの間に行われ、白装束の行者と登山者が急な参道を登ります。女性や登拝の時期を外した人は、対岸の稲村ヶ岳や、龍泉寺の境内、面不動鍾乳洞などで大峰山の自然と信仰の空気に触れることができます。
【トリビア】
役行者にちなむ和漢薬「陀羅尼助」は、洞川の名物として今も各家で作られています。修行に使われた苦いキハダの皮を煮詰めた丸薬で、胃腸薬として全国に知られています。また大峯奥駈道には七十五靡と呼ばれる行場が点在し、行者は靡ごとに経を唱えながら吉野から熊野まで歩きます。西の覗で命綱一本で崖から身を突き出す荒行は、テレビで紹介されて広く知られるようになりました。




