【概要】
女峰山は栃木県日光市にある標高2483メートルの山で、日光連山のなかでもとりわけ鋭い姿を見せます。長い年月の侵食で削られた成層火山で、馬蹄形に残る古い火口壁の西の峰が山頂にあたります。頂には滝尾神社の奥宮がまつられ、大己貴命の妃とされる田心姫命を祭神として、男体山と対をなす母の山とあおがれてきました。
【歴史】
女峰山は、麓の日光山内に鎮座する滝尾神社の神がしずまる山として古くからあがめられ、山頂にはその奥宮にあたる女峰山神社がまつられています。祭神の田心姫命は大己貴命の妃のひとりとされ、男体山の神と夫婦の関係に置かれてきました。修験者が三山をめぐる日光三山掛けでは、女峰山が最初にたどる一番山とされたと伝わります。
【特徴】
女峰山は成層火山ですが、火をふく活動を終えたのちに侵食が深く進んだため、山頂は刃のように切り立ち、日光連山でもっとも尖った外観になりました。差し渡し三キロほどの馬蹄形をなす古い火口壁が残り、その西の端にあたるのが山頂です。頂上には二等三角点が置かれ、あたりは足場の細い岩稜が続いています。残雪の季節や霧の巻く日はとくに慎重な歩みが求められる山です。
【見どころ】
表口にあたる霧降高原からは天空回廊と呼ばれる長い階段が延び、初夏にはニッコウキスゲの群落が斜面を染めます。ここから赤薙山を越えて頂へ向かう道は長く、水場の乏しい区間が続きます。日光の市街側から詰める黒岩尾根には唐沢避難小屋が建ち、帝釈山へ渡る馬の背渡りは日光三険のひとつに数えられる難所です。季節ごとに道の状況が変わるため、余裕のある計画が欠かせません。
【トリビア】
女峰山は女貌山や女体山とも書かれ、男体山と向き合う名として古くから使い分けられてきました。山中には修験の行場に由来する地名が多く残り、水場や小屋の名にも信仰の跡がしのばれます。日光連山を家族に見立てる語りでは、男体山を父、女峰山を母とし、太郎山や真名子の兄弟をその子にあたるものとしています。この見立ては土地の語りとして今も親しまれています。




