菜種の里

(なたねのさと)
📍 島根県 松江市🥢 名産🎭 文化

【概要】

菜種の里は、島根県松江市にある三英堂が伝える打ち物の茶席菓子で、春の菜の花畑を白い蝶が舞う情景を一枚の菓子に写したものです。松江藩七代藩主・松平治郷、号を不昧が好んだ菓子と伝えられ、菜の花色の生地に焙じた玄米を蝶に見立てて散らします。明治維新の後に製法は途絶えましたが、昭和初期に三英堂が受け継いで復活させたとされます。

【歴史】

菜種の里は江戸時代後期の文化年間ごろ、松江藩の菓子職人であった面高屋が家老有沢家の求めに応じて作り、松平治郷に献上したと伝えられます。治郷の供をして菅田庵へ向かう道中、菜の花畑に蝶が舞う景色に心を動かされたことが着想になったとも語られます。維新後に作り手を失って製法は絶えましたが、昭和四年創業の三英堂が製法を授かり、松江の菓子として再び世に出しました。

【特徴】

菜種の里は、寒梅粉と砂糖を型に詰めて押し固める打ち物、いわゆる落雁の菓子です。生地はクチナシで菜の花のような黄色に染められ、そこに焙じた玄米が点々と散らされて白い蝶に見立てられています。板状に仕上げられているのも特徴で、手で割ったときにできる不定形な縁までが景色の一部として見どころになる、絵のような構えを持っています。

【味わい】

菜種の里はしっとりと仕上げられており、口に含むとほろりと解けて甘みが静かに広がります。抹茶の苦みと合わせると砂糖の甘さが澄んで感じられ、茶席菓子として作られた意図がよく伝わります。板のまま出して客の前で割る楽しみもあり、割れ口の大きさをそろえるとひとりずつに配りやすく、菜の花畑の景色も崩れません。温かいお茶を選ぶと口のなかでの解け方がより素直になります。

【トリビア】

菜種の里の名は、不昧公が菜の花の野辺に蝶が行き交う様子を詠んだ歌にちなむと伝えられます。松江三大銘菓のうち山川と菜種の里はどちらも打ち物で、求肥を用いる若草とは作りが対をなしており、三品を並べると松江の菓子の幅がよく見えてきます。蝶に見立てた粒が焙じた玄米であることは、食べてみて香ばしさに気づく人も多いところです。

📅 最終更新: 2026/9/13
菜種の里
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です