勿来関

(なこそのせき)
📍 福島県 いわき市🏯 歴史⛰️ 名所

【概要】

勿来関は、福島県いわき市にある丘に伝承地が整えられた古代の関で、住所では勿来町関田にあたります。名は「来るな」を意味する古語に由来し、都から見た境の厳しさを伝えます。源義家の歌で知られる歌枕ですが、古代の関の正確な位置は今も定まっておらず、ここも推定地のひとつです。現在は関跡の公園として桜の名所になっており、勿来関文学歴史館では歌枕としての歩みをたどることができます。

【歴史】

勿来という地名は、古語で禁止を表す「な〜そ」に「来」が挟まった「な来そ」、つまり来るなという言葉に由来するとされます。平安時代の記録に見える菊多関と同じものと長く考えられてきましたが、近年は区別して扱う見方が強まりました。奥州三関のひとつとして、陸奥国の海沿いの入口を守ったと伝わります。歌枕としての名は早くから都に広まっていました。

【特徴】

最大の特徴は、古代の関がどこにあったのか決着していない点です。福島県いわき市にある丘が古くから関の地と語られ、いまは観光地として整えられていますが、宮城県宮城郡利府町の名古曽に求める説もあり、陸奥国府の多賀城との位置関係や江戸時代の絵図が根拠に挙げられています。あくまで伝承地です。広い範囲の発掘調査を求める声も地元の研究者から続いています。

【見どころ】

伝承地には勿来関文学歴史館が一九八八年に開館し、学芸員を置いて歌枕「なこその関」をめぐる歌や資料を展示しています。二〇〇七年には平安の趣を写した吹風殿が加わりました。一帯は一九五一年に県立自然公園となった桜の名所で、春は斜面が花に包まれ、坂の上からは太平洋を望むことができます。歴史館の展示は関の文学的な広がりをたどる手がかりになります。

【トリビア】

源義家が詠んだと伝えられる「吹く風を勿来の関と思へども道もせに散る山桜かな」は千載和歌集に収められ、この地の代表的な一首として親しまれています。風すら来るなと拒む関という名を、散り敷く山桜の美しさで受け止めた歌で、桜の名所として知られる現在の姿とも重なる味わいがあります。義家が奥州へ向かう道中に詠んだと語り継がれてきました。

📅 最終更新: 2026/9/13
勿来関
※画像はAIによって生成されたイメージ画像です