【概要】
美濃伝は、今の岐阜県南部にあたる美濃国で形づくられた日本刀の伝法で、五箇伝のなかでは最も新しく成立したとされます。大和や相州の技を受け継いだ刀工が移り住み、室町時代には関を中心に一大産地となりました。尖りごころの互の目や、孫六兼元の三本杉と呼ばれる刃文が名高く、実用を重んじた切れ味のよい刀を数多く送り出しました。岐阜県関市には、その歴史と技を伝える関鍛冶伝承館があります。
【歴史】
美濃の刀づくりは、大和の手掻派の流れをくむ兼氏が美濃へ移り、正宗に学んだ相州伝の作風をもたらしたことで大きく発展したとされます。関では鎌倉時代に刀祖とされる元重が移り住んだと伝えられ、やがて兼の字を名乗る刀工が数多く集まりました。室町時代には関の刀匠が300人ほどに達したともいわれ、戦国時代には武将たちの求めに応えて、関は全国有数の刀の産地となりました。
【特徴】
美濃伝の地鉄は板目に柾目が交じる肌合いが多く、大和伝の流れを感じさせます。刃文は互の目の頭が尖る尖り互の目が特徴的で、孫六兼元が得意とした三本杉は、尖った互の目が三つずつ連なって杉の木立のように見える刃文です。兼房の名を冠した兼房乱れも知られます。粒子の細かい匂を主体とし、折れず曲がらずよく切れるといわれた実用性の高さが、武士たちに評価されてきました。
【見どころ】
岐阜県関市にある関鍛冶伝承館は、春日神社の隣に建ち、鎌倉時代から続くとされる関鍛冶の歴史と技を伝える施設です。孫六兼元や兼定らの日本刀を紹介し、併設の鍛錬場では刀匠が鋼を鍛える古式日本刀鍛錬が公開されてきました。館は改修工事のため2026年9月から休館しており、2027年3月末まで続く予定とされるので、鍛錬の公開日とあわせて訪れる前に確かめておくと安心です。
【トリビア】
関の孫六の名で知られる二代目兼元は戦国時代の名工で、その刀は切れ味のよさで評判を得たと伝わります。同じころに活躍した和泉守兼定は、銘の定の字に之の形を用いたことから之定と呼ばれ、兼元と並ぶ関の名工に数えられます。関の春日神社は、金重らが奈良の春日大明神を迎えて関鍛冶の守り神としたのが始まりと伝わり、関で培われた技は今も刃物づくりに受け継がれています。
