【概要】
耳成山は標高およそ140メートル、大和三山のなかで最も低く、田畑の中にひとつだけ整った円錐形で立つ山です。よそ見のない姿から、余分なところがない山という意味で耳成の名が付いたといわれ、登山口の鳥居には耳無山と刻まれています。藤原京の北を守る位置にあたり、南麓の耳成山公園は桜の名所として親しまれています。
【歴史】
耳成山は万葉集では耳梨山と記され、中大兄皇子の三山歌などいくつもの歌に姿を見せてきました。山腹に鎮まる耳成山口神社は明治より前には天神社と呼ばれ、水の乏しい盆地の暮らしを支える雨乞いの神事がたびたび営まれた場所です。藤原京が置かれてからは、条坊の広がる都の北の端を示す目印としての役割も担い、都びとが日々仰ぎ見る山となりました。
【特徴】
耳成山は奈良県橿原市にある標高およそ140メートルの独立した丘で、流紋岩からできています。畝傍山と同じように中新世の火山岩が侵食され、硬い岩体だけが平野に取り残された山です。三山のうちで最も小さいにもかかわらず、どの方向から眺めてもほぼ左右対称の円錐形に見える整った姿が身上で、盆地の目印として遠くからもすぐに見分けられます。
【見どころ】
南麓の耳成山公園は五千平方メートルあまりの広さがあり、春には池のほとりの桜が咲きそろって多くの人が訪れます。公園の奥の鳥居から登り始めると、標高およそ120メートルのところに耳成山口神社が現れ、そこからさらに少し登れば頂上です。全体で三十分ほどの気軽な登りで、上からは畝傍山と天香久山が並んで見えます。
【トリビア】
耳成という変わった名の由来には、耳がないのは余りがないことで、欠けたところのない整った山を意味するという説が広く知られています。登山口の鳥居に刻まれた耳無山という表記もこの読み方を裏づけるものです。三山歌では、この山が香具山とともに畝傍山を争ったと詠まれ、恋のもつれの一方の当事者として描かれています。




