【概要】
三方湖は、三方五湖のなかで最も内陸にあり、五つのうち唯一の淡水湖です。福井県若狭町にあり、面積は約三・六平方キロメートル、最大水深は五・八メートルと浅く、流れ込む川が運ぶ栄養で魚も水草もよく育ちます。北岸の鳥浜貝塚は「縄文のタイムカプセル」と呼ばれる低湿地遺跡で、湖畔には若狭三方縄文博物館が建っています。
【歴史】
三方湖の北岸にある鳥浜貝塚では、およそ一万二千年前から五千年前にかけての縄文人の暮らしの跡が見つかりました。水に浸かっていたおかげで丸木舟や縄、赤く漆を塗った器、ヒョウタンやウリの種まで腐らずに残り、当時の生活が細かくわかる遺跡として知られます。二〇〇〇年には出土品を収める若狭三方縄文博物館が湖畔に開館しました。
【特徴】
五つの湖のうち三方湖だけが淡水で、鰣川など複数の川が山あいから流れ込みます。最大水深五・八メートルという浅さと豊かな栄養のため、ヨシやヒシといった水草が広がり、古くからコイやフナ、ウナギの漁場になってきました。竹筒を沈めてウナギを取る筒漁や、冬に音で魚を追い込むたたき網漁など、湖ならではの漁法がいまも受け継がれています。
【見どころ】
三方湖をめぐる道からは、対岸の山なみと梅林を映した水面が眺められ、春には福井梅の花が湖畔を白く染めます。若狭三方縄文博物館では丸木舟や縄文の編み物を実物で見ることができ、初代館長は哲学者の梅原猛が務めました。田んぼと湖がひと続きになった穏やかな風景は、五つの湖のなかでも最も素朴で人の暮らしに近い表情です。
【トリビア】
近年の三方湖ではヒシが増えすぎて水面を覆い、水質を悪くするため毎年の刈り取りが続けられています。隣の水月湖を通じて海水が入りやすくなり、塩分がわずかに上がっていることも背景のひとつと考えられています。二〇一九年には五つの湖の漁のしくみが「三方五湖の汽水湖沼群漁業システム」として日本農業遺産に認定されました。




